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可哀いい 一←おそ
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おれの初恋の人は、もう顔も名前も思い出せない。
ただ、おれのことをかわいいっていいながら撫でてくる変なやつだったことは覚えている。
おれは皆で皆はおれ!とっ言っているおれにたいして、ひどく優しい目をして、おそ松くんはかわいいね。といいながら、頭を撫でるのだ。
きっとその子は賢かったから、おれにはわからないことがわかっていたのだろう。
今思うと、あれは哀れみの目じゃなかったかと感じた。
その子は遠くに引っ越して、ここ何年かあっていない。
まあ、まだ恋心があるかといわれたらないので別に良いけれど。
だって、おれは一松が好きなのだから。
…きっと、初恋の子と重ねて見てしまったのだろう。
一松が優しい顔をして猫を撫でているとき、ふとあの子を思い出すのだ。
うっすらと、彼女の輪郭が、ぼんやりと見える。
もちろん、一松がおれのことを撫でるなんて無いに等しいのだが。
…あの子への恋心が無く、一松が好きだとしても、もしあったら、心うつりする可能性は十分にある。だから、あいたくない。
だって、一松のことを好きでいたいから。
あ、他の兄弟はこのこと知らねーよ?
いったところで、へんにばらされて、フラれるのが目に見えてるから。
一松はきっと、何があってもおれのことをかわいいということはない。
それは想像などではなく、れっきとした事実なのである。
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