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不毛な関係と恋心16
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ボクが戻ると、渋々ながら若い女性教諭は席を立った。
「戻ってきてくれて安心しました」
長谷川さんの固まっていた顔がほんの少しだけ緩む。その表情を見たことある気がして、いつ、どこで見たのか思い出したボクはかぶりを振った。
(かーくんがホテルで見せた顔だ)
今は勤務時間内ではないけど、この飲み会はあくまで仕事の範疇で、そんな時にボクは何を思い出しているんだろう。
ふと長谷川さんの膳に目をやると、泡の消えたビールが入ったグラスが置かれていた。なぜだかふちまで並々とビールがつがれている。
「少し待っていて下さい」
ボクは入り口の辺りに置かれたテーブルから瓶のウーロン茶と新しいグラスを取ってきた。
席に戻り、長谷川さんにグラスを差し出す。
「歓迎会の時は召し上がられていた記憶があったんですけど、今日はお飲みにならないんですね」
カポッとウーロン茶の栓を外し、長谷川さんの持つグラスにそそぐ。これ以上ないほど並々とビールがつがれたグラスは脇に寄せた。
きっと、飲まなかったのであればお酌をされる度に少しずつ増えていったんだろう。来た人だって何もしないわけにいかないから、大方『気持ちだけ……』とでも言われて。
「飲めないわけじゃないですが、好んでは飲まないですね。他にも飲んでない方が結構居るので今日は遠慮しました」
喉が乾いていたらしく、ウーロン茶はグラスの半分より少し下の線まで減った。つぎ足そうとすると制され、瓶を奪われる。
ボクは乾杯の時に入れた温くなったウーロン茶を飲み、長谷川さんに新たについでもらうためのスペースを作った。
「ありがとうございます」
そしてグラスを差し出す。ただそそぎ終わるのを待っているだけなのに手が震えた。
綺麗だけど節のしっかりした長谷川さんの指がセクシーで、ほんの少しの時間に別のことを連想する。
(指じゃない物を入れられたい、なんて)
八分目までウーロン茶をつがれた所で我に返る。グラスに口を付けた。
今度は冷たい液体が喉を通っていく。それなのに卑猥な妄想で火照った体は冷えてくれない。
長谷川さんが食べ物を口に運ぶ様子を見て、ふいに下が反応した。
箸を持って口に運び、咀嚼して呑み込む。それだけの行為が妙に色っぽい。
気を粉らわすために必死で目の前の物を食べ進めたけど、全く味の分からないまま胃に落ちていくだけ。
ボクはスマートフォンに生徒の親から連絡があった振りをし、席を立った。
トイレの個室の中でかーくんに『会いたいです』ってメールを送る。
(職場の飲み会の最中に、何をしてるんだろう……)
罪悪感でいっぱいなのに下からはタラタラと先走りが溢れていた。厚めのニットボクサーを通しても染みがクッキリと浮き出て、指で触ればヌルヌル滑る。
(ボクはおかしくなっちゃったのかもしれない)
一体どんな顔をしてあの場所へ戻ればいいか分からず、膝をかかえてトイレの床にうずくまった。
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