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ずっと、好きな人がいる。
引越し先で出会った三歳年上の優しく、強い近所のお兄ちゃん、気も体も弱い僕はいつも一人で、そんな僕に沢山声を掛けてくれて遊んでくれた。
共働きで忙しい両親の事情を知っていたから、夕飯をご馳走になったり、お風呂に一緒に入ったりもしていた。
その関係は変わらず、あの人が部活や勉強で忙しくなっても、時間を見つけては僕に会いに来てくれた。
一目見て好きになった。
一緒に過ごす内にもっと好きになった。
それは恋へと成長した。
そして、それは許されない、求めてはいけない恋なのだということも知った。
この関係を壊すことはしない、そう決めて、直ぐにその想いは封じた。
いつも通りに、決して気付かれないように、あの人の知る僕で在り続けた。
でも僕が中学三年になった頃、あの人は僕と少しずつ距離を置くようになった。
僕は直ぐにそれに気付き、何とか元通りの関係に戻れないかと行動してみたけれど、距離はひらくばかりだった。
途方にくれ、寂しくて、辛くて、毎日泣いた。
そして季節は流れ、冬になった。
もうすぐあの人は高校を卒業する。優秀な人だから、何処か大学へ行くのだろう。でもあの人も、その両親も、誰も、進路を教えてはくれなかった。
だから、僕は最後だと決めて、あの人の高校へ向かった。学校をずる休みして、少し離れたあの人の高校へ行った。
こんな事、益々嫌われるかもしれないと思うとしたくても出来なかった。
どんなに声を掛けても、僕を見ないし、笑ってもくれない。冷たくあしらわれ僕をその場に置いて行く。
理由があるなら知りたい。
怖くて聞けなかったけれど、言ってくれたら必ず直すと約束して、それで、また。
時間がない今、どんなに僅かな可能性にだって縋りたかった。
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