アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
8
-
side ハミド
『シェザードは売りに出たマンションの金額とオーナーまで調べてきたみたいですね。殿下のこれはビジネスだとでも思って奴は自分を納得させているんでしょうが、どう贔屓目に見ても、やってる事はただの変態ストーカーです。』
『あいつ、使えるな。』
何を今更と言うように、カリフは眉を上げて小首を傾げた。
『そりゃ、使える人間しか本国からは連れて来ていませんからね!』
『今日の運転手、気になるな‥。』
『ですねぇ、あそこまで使えない人間がいるのは確かに不自然でした。使えない人間の周りにしか無能なものは集まらない‥‥っまさかっ!?』
ハッとしたようにカリフと向き直り、二人で険しく見つめ合う。
思わず、低い声で唸った。
『2番目の兄、だろうか。シオンの事が知られると色々マズイ。』
『気になるようでしたら、念の為、第二皇子アレフ様とつながりがあるのか、調べておきますね。』
『それと、このシオンが行くドーナツ店は学校の近くに作れるか?』
さあっと青ざめたカリフはキターー!とばかりに俺の無茶振りを、どこまでに落とし込めるか思案しているようだった。
『‥‥。えぇっと、今日会った人ですよね、シオン様は。殿下がご執心なのは見りゃ分かりますが、彼はここまでの時点で、殿下に目をつけられた可哀想な日本人、にしか私の目には映りませんが。』
『もうキスまで進んだ。シオンを1週間以内に落とせるかの重要な案件だ。今回のビジネスは少人数で進めて行く。』
『いやいやいや、ビジネスどころか、ストーカーの変態計画に加担する作業じゃないですかっ!?殿下の気まぐれに、可愛い私の部下を使えと‥?』
長い人差し指と中指でとじた瞼をグリグリしながら、何とか折り合いをつけようと戦っている。
やがて大きく深呼吸をすると、観念したように口を開いた。
『他に競合店がいくつあるか調べます。進捗状況は報告しますが、殿下もきちんと店を管理してくださるなら、仰せのままに致します。それから明日のコース、入る予定の店は決まっておりますか?』
『あぁ、候補はいくつか考えている。』
『拝見しても?』
ネットで開き、店舗の候補は目で促す。
『ほうほう…。では、明日警備のものと相談しましょう。』
執務室の向こうでは側近達が、各々が任された仕事を終えて、控えていた。
俺と執務長のカリフが長時間部屋に籠って質疑応答をしている事から、カリフが部屋を辞すると同時に、恐らく総員召集を掛けられ明日の準備を始めるのだろうことは、皆察知して自室には戻らず向こうで待機しているのだろう。
部屋から出てきたカリフの顔色をみて、明日もかなり難しいミッションなのだと察し、張り詰めた空気が部屋に漂うのだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
8 / 685