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「おい。このドーナツ、冷めてるぞ。」
ハミドが不思議そうに言う。
「無茶を言わないでください!先方は、温めるならこの専用の機械を船に積まないとダメだと、頑として譲らなかったそうです。時間も無かったため、早急にはとても無理です!」
カリフさんは憮然と答えた。
「もしかして、ここのドーナツって人気なんですか?俺もプレーン味が好きなんです!」
俺は昨日も食べたけど、そんな事関係なく二人がこのドーナツが好きな事が嬉しかった。
さっき飲んだコーヒーも、ドーナツ店のものなのだろう。
カリフさんは笑顔を見せて、俺にドーナツを差し出した。ドーナツを手掴みで受け取ると、次はハミド、最後は自分の分だったようで皆でパクっと頬張る。
「ふふっ。俺、昨日は一人でこのドーナツ食べたんですけどね、昨日の温めたドーナツより二人と食べるドーナツのほうが遥かに美味しいです。皆で食べると美味しいですね」
嬉しくなってそう言うと、ハミドは頬に朱がうっすら差し込み、食べながら頷く。
カリフさんはそれを見てほぉっと意味深に笑いながら、「シオンの笑顔を見ながら食べられるドーナツは私にとって最高のデザートです」と、ドーナツよりも更に甘い言葉を言われ、恥ずかしくて真っ赤になった。
それを見て嬉しそうに声を立てて笑うと、「では席を外しますね」と、空いた皿を持って船内に行ってしまった。
デッキに腰掛けたまま、コーヒーを飲み干し、気持ち良く風に当たっていると、ハミドが隣に腰掛けてきた。
「ハミド、こんな大袈裟にお礼されるなんてびっくりしたけど、嬉しいです。ありがとう!」
するとハミドは俺に無言で唇を重ねて来た。
「ちょっと、周りに人が‥」
「居ない。」
言われて周りを見渡すと、不思議と誰も周りにいない。キスを肯定と受け取られてしまったのか最初は触れ合うように、徐々に深い口づけになっていく。
俺の心臓は煩く鳴っていて、ハミドに伝わっているんじゃないかとドキドキした。
ハミドは昨日、深い口づけで酸欠になった俺を覚えていて、角度を変えながら器用に舌を動かす。歯列を確かめるように舌でなぞられた。
上顎の裏、あぁ、ここを舐められるの気持ちいい‥口の中も唾液が溢れ、もうどちらのコーヒーや砂糖の味なのかも分からない程混ざり合っていた。
「うんっ、ふっううぅん…。」
気持ち良くてつい喉を鳴らしてしまったら、ハミドの腕が強くなり抱きしめられるように俺の身体を包み隙間なく口内をヌメヌメと味わっている。
あぁ、このまま食べられてしまいそうだ‥。
俺がクタッと脱力してしまうと、お姫様抱っこをして、ハミドが囁いた。
「デッキで風に当たりすぎると身体を冷やす。船内に行こう。」
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