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意識が戻り、目を開けると自宅のベッドにいた。
ハミドが心配そうに覗き込んでいたが、俺が目覚めると嬉しそうに頭をポンポンと撫でてきた。
先程の甘い雰囲気は全く無くて、船を降りてからの状況説明を淡々と報告される。
カリフさんは俺をハミドと一緒に玄関の前まで送ってから、そのまま車で帰ったらしい。船酔いした事にしてくれたらしいが、船酔いであんなふうになるんだろうか‥。まぁカリフさんがそれで納得してくれるならと要らんことは言わずに黙って続きを聞いた。
その後ハミドは鞄の中身を調べ、生徒手帳から住所を割り出し、自宅の鍵も見つけたのでそれで入ったとの事らしい。
調度品からここが俺の部屋だと思って運んだそうだが、そんなに散らかしていなくて良かったと焦った。
「身体は、まだ痛むか?」
ハミドが心配そうに労ってくれる。
「はぁ、まぁ、ちょっと今すぐには動けそうもないかな‥」起き上がろうとすると鈍い痛みが走ってきて顔を顰めると無理はいけないとまた寝かせてくれた。
さっきは、身体がおかしくなってだいぶ恥ずかしい事をしたと思うのだけど、ハミドは普通に接してくれるから、俺が引きずらなければ楽しい雰囲気を壊さなくていいのかなと、あまり触れないようにした。
ふと、気がついたように
「お腹は空いていないか?こんなものしかないが」
先程、船の中で食べたドーナツの箱だった。開けると10個は入っている。ハミド、そんなにこれが好きなのか。
「ありがとうございます!じゃあ、もう少ししたら、うちのレンジで温めて食べましょうね。」
ハミドはじーっと俺の顔を見ながら、
「怒っていないのか?」と聞いてきた。
えっ?質問の意味が分からなくて、首を傾げると。
「その‥‥」口ごもりながら頬を染めて目を逸らしたハミドはいつもの豪放磊落な彼らしくなく、むしろ俺に嫌われないように怯えて、言葉を選んでいるように見えた。
「さっきは、俺もどうかしてました。身体が変な風に反応しちゃって‥出来たら、もう、忘れてください。」
言ってから、胸がチクリと痛くなった。
ハミドは息を止めるようにハッとした顔になり、「あれは、シオンにとっては忘れたい行為だったのか‥‥?」
心底傷ついた顔をしていた。
らしくない、全くもって彼らしくない。
彼と話したのは昨日と今日だけだが、こんなにも動揺しているのは彼らしくないと本能が訴える。
「はい、出来れば忘れてください。俺も忘れるから」必死に笑顔を作って言ってから、またズキズキと胸が痛む。
目を瞑って深呼吸をすると幾らか落ち着いてきたのに、突然両腕で身体を掴まれ、びっくりして顔をあげると全身の毛を逆立てた虎のようなハミドの目が俺を射すくめた。
「俺は忘れたくない。いや、絶対に忘れない。」
「ひぃっ‥」何だかドス黒いオーラが出ている。
そのまま俺にかぶりつくような口づけすると、さっきの酸素不足を思い出させるようキスをしてきた。
「かっ、あ、ふぅん‥‥んン‥」
舌で歯列をなぞったり、上下の歯で僕の舌を甘噛みしたり、吸ったりと、ドロドロに理性を溶かしていく危険なキスだ。
口の端から垂れた唾液を、舌で舐め取ると、捕食者のような目で俺を見た。
「絶対に逃さない。」
ズクっと身体の芯がまた疼いてきたが、ハミドから目線を逸して俯くように抗議するのが精一杯の抵抗だった。
こんな気まずい空気の中、入口のほうで音がして、このタイミングで父さんが帰ってきた。
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