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20 R(微エロ)
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side ハミド
ここは、どこだ‥。
確か、カリフが自信満々にシオンとのことは私にお任せください!
等と言っていたが、その翌日から、ただひたすら学校への提出物と、新規に買収したいくつかの会社企業の書類への確認作業をこなす日々だった‥。
あとは‥そう、日本でも指折りの馬主であり牧場経営をしているテルから「うちの殿下がスクスクと成長している」なんて話をテレビ電話でした。
馬体もタテガミも真っ黒らしく、馬が売れるまで、牧場で呼ぶ仮の名にハミド(つまり俺の名)を付けたとか。
悪さをしたら棒で叩かれてハミドと怒るんだろう?俺の名前でそんな扱いはごめんだと言ったら、そんな事はしない。
この子はこの牧場期待の星だから、丈夫に育つようあやかってつけたとかなんとか。
テルとの世間話はいい気分転換になったのに、向こうは顔色が悪そうだが、仕事が忙しいのか、良かったら秋はリフレッシュに来ないのか?と、本気で心配されて困った。
精神のダメージは肉体にも負担になるというし、いよいよ俺も弱ってきたかと油断していた。
少し休憩しましょう、そういって、飲まされた紅茶。いつもより香りが甘かった。
多分、俺の所有地のどこかを改造したのであろう場所。縛られ、目隠しをされていたから正確な場所までは分からない。
来るときに川が流れていたが、どこまで車で運んだのだろう。
着いた場所では、体のあちこちを、特に中心を念入りにベタベタと筆のようなもので何度も塗られた。
「ハミド様、お許しください‥お許しください‥」
これは、カリフの側近の一人だ。以前耳にしたことがある声だと記憶を呼び起こした。
震えるような声で、作業を続けている。
許しを乞いたければ、この縄を解け‥そんな事をもし言っても、コイツは絶対にしないだろう。
ただ、意識が戻ったことだけを伝えると、塗りかけていた筆を離して下がろうとする気配を感じた。
『塗っていたものは、なんだ?』
それだけを質問する。
『カリフさまが、第一皇子様から賜った、貴重な夜の営みに使うお薬と伺っております。』
そういうと、怖くなったのか俺の口をテープで閉じ手錠らしきものまで付けられ、部屋から出て行った。
控えめに言って、最低最悪だ‥
よりによって、兄上の薬‥。
あれは数年前、アメリカの大学にいた俺が、同じくこの国で最先端の薬品を開発している第一皇子の様子を見てこいと、兄上のいる研究所に遊びに行った時の事だ。
兄上は頭がよく、兄上の亡くなった母上も国で評判の美姫だったという大きな青い目ときめ細やか白い肌を受け継ぎ、俺にも優しい自慢の兄だ。
ただ、どんな人間にも多少なりとも短所があるが、兄上の場合は性癖がそれにあたる。
医療の薬を研究し続ける傍ら、元々の趣味である拷問用の媚薬を作ったと嬉しそうに、手渡しでくれたことがあった。
媚薬なんて聞いた事がない、と鼻で笑った。
これがよくなかった。
研究所の人間に誰でもいいから召使いを連れてこいと兄上に呼ばれ、やって来た高齢の男二人に媚薬を飲ませた‥‥。
さして時をおかず、俺たちや他のものがいるというのに、二人は行為に及び、衝撃的な光景が目の前で繰り広げられた。
だが、兄上はそんなものを見ていられないとさっさと下がらせ、実はもう少しデーターが揃ってから人間に飲ませたかっただの、行為を止められると発狂しだすが自我を失くすまでの時間を計測したかった、と構うことなく、薬の説明を始めた。
彼らは効き目がとっくに切れているであろう時刻まで部屋から出て来なかったと後に報告を受け青ざめた。兄はそれを聞いて部分的に皮膚で吸収する塗り薬でも同じ効果になるよう開発しようかな。飽きたら流せば落ちて、舐めても害のないやつ。ねぇハミド、お前はどう思う?なんて無邪気に聞かれ、俺は元々無口な質だが、人前では余計に口を閉ざすようにした。
あれから数年も経っている。無駄に努力の好きな兄上があれ以上のものをお前に渡すことは、想定内にしなければならないだろう。
とりあえず、殺される事は無さそうだが、殺されない以外の苦痛に等しい行為が待ち受けていることも覚悟しなければならない。
何を考えている、カリフ。
朦朧としてくる意識の中で、何とか自我を保つよう、奥歯を噛み締めていた。
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