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side ハミド
今の、この関係にモヤモヤしている。
全ての現況はあいつだ。
「シオン、一体、何故ここに来た?」
一番最悪のパターンは、シオンとカリフがグルであることだ。
一度は自分を襲った人間だ。
のこのこ遊びに来たというなら
軽率過ぎる。また襲ってくださいと言わんばかりではないか。
シオンは軽く俺を睨んで「カリフさんとは、学校前の、ドーナツ屋で偶然会った。ハミドが体調を崩していると聞いて‥‥。学校も休んで静養しているから、彼の別荘に様子を見に行くと。俺はハミドが心配になって、一緒に連れてってくださいってお願いしたんだ。
でもこの別荘の部屋に入ったら鍵を閉められて‥でも、なんか普通じゃないし、事件にでも巻き込まれているんじゃないかと思うくらい、今は怖い。もしカリフさんが全てしているならどうしてこんな事って‥」
ーーーとどのつまり、のこのこ連れて来られたのか。
一度は拒絶した男の心配をして。
でも、何故だろう愚かと思えない。すぐにここまで来てくれた事実が嬉しい。
シオン、体調を気遣う程には俺の存在を意識してくれたのか。この幸せな勘違いをずっとしていたい。
「カリフと、先に少し話してもいいか。そのあと、必ずシオンと話すようにさせる。」
「それでいい。」
カリフはワンコールで出た。
『ハミド殿下、少しはシオンと仲良くなれていますか?』
ナニが仲良くだ。
下世話な響きを、ひしひしと感じる
『カリフ、一つ分かったことがある。俺はお前と友人にだけは絶対にならない。』
『今はだいぶ、お怒りのご様子ですね。先程から何度もお電話差し上げたのに、全くお出になってくださらなくて、非常に焦りました。今日中にお伝えしたいこともいくつかございましたし。』
『伝えたい事は、何だ。勿体ぶらずに全て言え』
『はい、まずは第一皇子ザイール様からのお薬を先程の部屋に置いてございます。座薬になっておりまして、シオンに必ず入れてあげてください。化膿止めや炎症を和らげるものでございます。それから玄関の鍵ですが、本日から二泊して頂き、日曜日の朝に開くよう、手配してございます。』
『ふざけるな。こんなところでそんなに遊んでいる時間は無い。』
『居ていただきます。時間ならございますとも。念のため、一週間は先のお仕事や、課題の提出を部下に各々分け与え、ハミド殿下に気づかれぬ事がないよう、ここ数日で終わらせました。それから、日曜日の朝までにシオンと必ず話し合い、必ず口説き落としてくださいね。この電話は基本、何か不測の事態があった時の場合のみ、お使い頂けます。折角なので、殿下とシオンが拉致されて20時間以内に探し出すという演習も明朝から実施します。ですので、厳密にはもう少し早まるかも知れません。演習者、一人目の通過者がこの別荘の玄関解除すれば外に出られます。以上になります。』
『随分楽しそうだな。』
皮肉を込めてそう言う。
『そりゃ楽しかったですよ、殿下をだし抜けるチャンス等、人生にそう何度も訪れることはありません!それから殿下と友人になれないのは私も同感ですが、シオンはまだ私の友人ですので、替わっていただけますか?』
『俺に指図とは、随分男前になったものだ。』
『いえ、指図でなくお願いです。さっきからこんなに長い間、我々が話しているので、シオンは不安になっていませんか?』
視線を目の前のシオンに戻すと、ネックレスを手で握りながらこちらを窺っている。悔しいがカリフの言うとおりだ。
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