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side ハミド
十年も、洋服はもういらない、十年も、洋服はもういらない‥‥‥
今日までの、骨身を惜しまずプロジェクトを進めてきた、シオンに喜んで貰える一着のために。
俺の頭の中で、無限ループが始まった。
カリフはビジネス、俺はシオンの為、今回の共同戦線だったが、何をどこで間違えたのか。
今のところ、シオンに嫌われてはいない。
自信は全くないが‥
何回プロポーズしても無かった事にされそうだ。
少しでもポイントを上げて嫌われる事をしなければ、俺はシオンに心を向けて貰えるはずだ。
シオンに好意を持って欲しくて、いつも余裕がない。
『シオン、シオンと、心の声が、だだ漏れですよ。鬱陶しい。ハミド殿下はシオンの事になると、本当にどーしよーもなく、ただの変態ダメ人間になりますね。』
『うるさい。とっくにお前にはバレてるのだ。今更何を考えてたって良いだろう。』
『拗ねないでください。洋服でなくとも、また何かありますよ‥‥。』
答えるつもりもない。
またドカッと席を蹴りたくなったが、そんな事をしても虚しいだけだ。
『‥そうそう、そういえば。今日の商談が無事終わったわけですし、シオンが可愛かった話を、ハミド殿下にご報告します。ふふっ‥あの商品券、やはり作って正解でした。今日まで!?行かなきゃダメなやつ!もったいない!って、ノリノリでお買い物を楽しまれてましたよ。』
くっ‥‥。それはお前が体験した、ただの自慢だろ。
不覚にも、はしゃぐシオンが思い浮かび額を手で覆うと身体を投げ出しどっと疲れが襲ってきた。
俺だって見たかった。
せめてその商品券とやらだけでもカリフから前もって預かり、俺から手渡せば良かったと、後悔しても、もう遅い。
シオンに貰った、このモコモコしたマフラーのようなもの。
不思議な手触りだと、もて遊ぶ。
カリフの作った商品券とやらで、こいつを貰えたわけだ。
カリフのニヤニヤが止まらない。『今日までだの、限定だの、お得だの、シオンはそういう言葉が大好きですね。』
わかった、わかった。お前の手柄だよ。
この案件も早急に纏めて、シオンに会いたい。
シオンの好きなもの、今日も知ることが出来た。
『いやーハミド殿下も青春ですね〜ふふっ』
しかしカリフがどうにもムカついて、疲れたからと寝たフリをした。
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