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ボルダリングカフェ。
体育館みたいな床から、カラフルな石が嵌め込まれた壁が様々な斜度に配置されている。
5メートルは超える壁を、色別に、どのように巡れば頂上に行けるか考えて登るらしい。
腕力が無くても、バランス感覚や頭を使い身体一つで登り切る事が可能らしい。
ドハと真斗は、店員さんに説明を聞きながらウキウキ遊び始めた。
俺も、昨夜のアレがなければ、やりたかったな…。
カリフさんと同じフロアにある眺めのいいバルコニーカフェで、お茶をしている。
「ここの手作りアップルパイも美味しいよ。」カリフさんの行きつけなのか、ケーキをいくつかオススメされる。
「じゃあ、アップルパイだけ貰おうかな。飲み物はさっき飲んだしあとでいーや。」
「了解。で、今後の事なんだけどね。当面の心配事は今は無くなったよ。アレフはとうとう、廃籍されてね。我が国の第二王子では無くなったんだ。元々彼はさしたる収入も無かったんだけど、彼に王室から渡される資産はいくつかあって、それが年に10億位かな。アレフのご生母が管理していたんだけど、今回それを国に返上する事になり、議会を通してザイール殿下とハミド殿下に公平に分けられた。」
「…なんか、途方もない数字に聞こえる。」
「普通はそうだよねぇ〜。ま、ハミドの総資産に比べたらそれすら微々たるもので、無くても全然困らないから心配しないで。むしろ管理する為のからの雑用のが面倒かも。ハミドもザイール殿下も、会社や個人資産を持っていてね、王室の資産もゆくゆくは陛下から立太子されたものに移行される。
本来なら長子のザイール殿下が即位されて、全て引き受けるのがいいんだろうけど、なかなかそうも行かない事情がある。
ハミドが王になるか、王弟として、ザイール殿下のサポートに回るか。どちらになっても良いように私達は動いているんだよ。」
「えっ!ハミドが王様になる可能性もあるの!?そういや前にハミドが倒れた時、カリフさんからチラッと言われたけど、ちょっと…そこまで可能性があるとは…それは聞いてないや。」
『やっぱりか。身分もまだ性懲りも無く隠してるから、まさかとは思いましたが、現状の跡取りになる可能性が大分ある位でも、サラッと言っておかないわけですねぇ、全て私にお任せですか、殿下…』
カリフさんは笑顔で青筋を立てて、何か独り言を言っていたが、
「おっと、今のは気にしないで。うん、そうなんだよ。お二人の仲はシオンも知っている通りとても良好なものなのだけど、後継者についてはちょっと複雑でどちらも譲り合う感じかな。ハミドもそんなわけで色々やることがあってね。特に仕事は、ハミド自ら細かい所まで調べて、判子を押していくからね。
ザイール殿下は側近が全てザイール様に人生捧げてるドM集団だから、好きな研究の事だけやればいいってスタイルなんだけど、ハミドは性格的にそういうやり方は出来ないしね。皆の為に先頭切って働くのが彼のやり方なんだ。」
「なんか、判る気がする。ザイールさんのお付きの人と、ハミドの側近の人達って違うよね…。」
「うん、それだけ解ってくれると嬉しい。例えば、ドハなんてのも異色の経歴でね、元々は山岳部隊に所属していた少年兵だったんだ。で、とても成績優秀で死なせるには勿体無いと上層部が教育も身に着けさせたエリートらしい。ハミドの元で働きたいって希望が来てて、他にもいる我が国の複数人と競わせて審査してシオンの護衛を任せたわけなんだけど、本来は動いていないと不安になる質だから、たまにはこうやって思いっきり身体を動かして、息抜きをさせてやって欲しいんたよね。
戦場からしたら今の状況は生ぬるいかと心配したが、こうして皆と溶け込めているのは彼の元からの人柄なのかな。あっ、これはもしかしたら知られたくない事かも知れないから、内緒にしててね。」
「ドハの経歴は初めて知ったな…。ハミドには昔、アレフから助けてもらった恩があって、大切な存在って言ってた。本当はハミドの側で働きたかったのかも知れないね。そういうストレスとか気がつかなくていつも、連れ回してた気がする。カリフさん、ありがとう。」
「そう、アレフとの確執も彼にはあったのか。じゃあ、廃籍された事はシオンからでも、教えてあげて。彼はシオンの気が付かない所でかなり頑張っていたから…」
カリフさんは、ドハをとても優しい目で見ていた。
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