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いよいよ、ハミドの国に出発することになった。自家用ジェットで、羽田空港から直接行けるらしい。
片道7時間ちょっとの、結構な旅だ。
俺もそれなりに荷物を持っている。
例えば、このスーツケース。
洋服のお店、セルシウスの神地さんが作ってくれたものだ。
カリフさんとお店に行って、ちゃんとしたスーツを作らなきゃいけない。
そう事情を説明して相談したら、凄く渋い顔で「普通にオーダーしたら、一ヶ月半以上、かかることは知っといてくれよな。型紙はもう時間がないから、シオンその場に立て。」
と、いきなり布を身体にあてて生地をハサミでシュッシュッと、裁断しだした。
スーツがプラモデルみたいにパーツごとに裁断されると、部分的にミシンを使いながら、スーツを手縫いするという。
「また数日後に。それから、こんな突貫工事みたいな服には俺の店のタグはつけられないし、これ出来るのも他言すんなよ」と、言ってアトリエに籠ってしまった。
相当すごい技術なんだろうと思うけど、神地さんが持てる技術を駆使して俺の為にスーツを作ってくれた事に、感謝して大切に着ようと思った。着るのは現地の謁見で。
今は、自家用ジェットに乗るとは思えない神地さんが作ってくれたマリンの上着に白のハーフパンツという格好だが、ハミドはそれでいい、可愛らしいと喜んでくれた。
「この、自家用ジェットも、ハミドのなの?」
「あぁ、俺とシオン専用に、前の座席を潰してリラックス出来るルームを作ったぞ?ベッドやソファもあるが…」
身の危険を感じて、
「普通の座席ないの?」
「あぁ、側近達は普通の座席で待機しているが…「そっちがいい。」
俺は間髪入れずに叫んだ。
「そうか…」
ハミドはちょっとシュンとしている。
こういうのって幾ら位するんだ?と、気になって聞くと60億はしないぐらいだというので、限りなくその位かかるんだなと、お金の使い方が想像つかないレベルになってきた。
カリフさん曰く一分一秒争うことも多々あるので、必須アイテムらしいんだけど、流石に改造したこの自家用ジェットはハミドの小遣いから差っ引いたと…。あぁ、こういうのも「お小遣い貯めて頑張ってる自分へのご褒美」レベルなんだなーと、頭痛がするほど別次元だ。
ハミドは俺が居ないんじゃ意味がないということで、こっちで側近の人達と同じ一緒の座席に座る。
皆さん、慌てているが俺もちょっと必死なので、心の中で謝ってこの席に座らせて貰った。
座席は離陸したら、倒していいらしく、180度倒れたりフカフカの座席にびっくりしたり。
「今回、ドハを連れて来れなかったが、楽しそうで何よりだ。」
ハミドが俺の顔を伺うように見ていた。
そう、この旅にドハはいない。
デリケートな王室の問題にドハを巻き込みたくなくて、方針が決まってから伝えたいらしい。
あいつに伝えるのも難儀しそうだと、ハミドは大きなため息を吐いた。
ここ最近忙しそうなのに、帰ってからも問題が山積みなんだな。
ハミドの事が心配になり、もしかしたら部屋で寝かせてあげたほうが良かったのだろうか?なんてことを思い始めた…自分を、殴ってやりたい。
ハミドはどこでも、ハミドだった。
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