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莉緒3
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夏の深夜。
千春は店を出た。
街は夕方の通り雨の名残で
湿度が高く、不快だった。
駅で在来線に乗り込むと、
車内は雨のニオイで充満していた。
窓の外は、
夜の中高層ビル群が広がっている。
千春が覗き込むと、
自分の顔がそれに重なって映った。
数ヶ月前、
千春は繁華街で声をかけられた。
相手はスカウトマンだった。
[マジックミラー星人]
というのぞき屋BARの名刺をもらった。
のぞき屋にも[男]の需要があるらしい。
最初千春は疑い半分だったが、
どんどん話が進み、
そこで働く事となった。
窓から見えるの無数のビル。
千春はそれを眺めながら、
ため息をつく。
(…俺って案外、
行動力あるんだな…
でも、よく考えたらこれって、
結構キワイ事してん…だよな…
名門私立教員の、
みだらな副業っていうのか…?
もし、この事が
世間にばれでもしたら、
俺の親…絶対泣くだろうな…)
千春の本職は高校の英語教員だ。
しかも彼が在籍するのは、
A大の付属の名門校である。
そもそも彼の家系は、
祖父の大学教授を皮切りに
両親とも教師という、
教員一家だった。
厳格な家系で育ったせいか、
あまり自分の本音を周囲に打ち明
けることはなかった。
それは彼も自覚している…。
自分のことを、
中身が空洞の人形のように感じ
虚しくなることもあった。
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