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真弓は 病院内のコンビニで 室内用サンダルを選んでいた。今履いている サンダルの底が すり減ってしまったのだ。
靴を履いているドクターも多いが サンダルは 楽で しかも病院のコンビニには 形はとにかく履きやすいし 割りとしっかりしている。
すると肩を叩かれた。
「よう。真弓。」
振り向くと 戸塚だった。
「なんだ お前か?」
「なんだとは ごあいさつだなぁ。この間は お前の いうこと 聞いてやったじゃないか。」
「まあな。あのときは ありがとう。
今日は どーしたんだ?具合でも悪いのか?」
「仕事だよ。仕事。」
「ふうん。」
「おや?あそこに見えるのは かわいこちゃんじゃないのか?」
戸塚が見る方向に視線をやると
千春の会社の車。そして 車から荷物を台車に幾つか乗せている千春。
と 同じ制服を着た若い女。
分かってるさ。
今日から途中入社の新人を乗せて 随行して配達するって言っていたから。しかも女。しかもパンフを見て途中入社の女。
そうだ パンフはこの戸塚が 作成指揮したんだ。
隣を見ると 戸塚はすたすたと 業者用出入り口に向かっている。
あいつを千春に近づけてはいけないよな。
僕も慌てて 戸塚の後を追う。
千春が戸塚に気がついたのか 戸塚が先に声をかけたのか
もう 気安く千春の肩を親しげに 抱くようにしている。隣の女にも冗談を言っているのか 女はケラケラ笑って戸塚の腕を叩いている。下品な女だ。
千春が 肩を抜きながら するべき仕事を し始めた。
ふと上げた千春の顔と目が合う。思わず千春に微笑んだ。顔を赤らめる千春。かわいい奴。
戸塚が おーい真弓。などと 呑気に僕を呼ぶ。あー面倒くさい。
千春は下品な女を置いて台車を押して黙々と仕事を続行している。
女がこちらを見ている。
イヤな女だ。仕事中だというのに 秋波を送ってきた。自分が魅力的だと思い込んでいるのか?あほ女。
しかし戸塚は 何か ヨイショを言っているのか モジモジしている女。
近づいていくと女は 世界的有名なカメラマン戸塚を知っているらしく 歯の浮くようなお世辞を言っている。
そして僕に向かって頭を下げて
馴れ馴れしくお医者様ですか?
御名前は?真弓さんとおっしゃるんですか?などと言い 僕の腕に さわろうとした。イヤな女だ。
もちろん真弓は名前で苗字は…なんて教えるつもりも一切無いが。
お前 仕事で来てるクセに 油売ってて良いのかと言いたかった。
曖昧に頷いて戸塚に声をかけようとしたが
僕が 仕事だろう と 言ったら 何の仕事?どこ?何を?
と女が言いそうな気がするし。
ええ医師です と 言えば 何科ですか?と 言いそうな気がするし。
君試用期間中だろう? と 言えば 何で知っているんですか? と 言いそうな気がするし。
無視をして 千春が台車を押して行った先に行けば 同じ病院の 人間が居るだろうし。
千春に話しかければ 女が 千春を質問責めにしそうな気がするし。だいたい 戸塚が 千春に声をかけた時点で 女は千春に 聞きたがるか?
いやいや パンフで途中入社してかきたから 戸塚は千春を知っていて 当然か。
クソっ あんなパンフが 作成されたから こんな ミーハーな女が 遊び半分で 入社するんだ。
だいたい 制帽は半分脱げるかと思うほどきちんと被っていない。上衣はボタンが全部はめられていない。半ば空いた胸元は 胸の盛り上がりが見えかかっている。ズボンには ちぐはぐなベルトをこれ見よがしに見えている。化粧が濃い。しかも わざとなのかジャンバーはだらしなく 片袖が長く手が隠れている。肩も半分わざと掛かっていない。
色気を出しているつもりなのか?ヘドが出そうだ。髪の毛は結ぶか 帽子の中に入れろ。
頭が悪そうだ。アヒル口で 喋って やだー ウソ うわー しか 言えないのか?
こんな女 荷物を運ぶ気が有るのか?彼氏をみつける為に 入社したんじゃないのか?よく 運転免許取得出来たものだ。
しかし この女は 千春がパンフに載っているのを知っているのか?顔も体型も判らないように 撮影した筈だけど。
千春は自ら言わないだろうが
ああ。会社の営業所の人間が言うか。
顔も判別出来ない人間が目の前の千春だと解ったら。
いや パンフに営業所と名前が掲載されていたっけ?いや 名前 載っていた。山手千春って。そしてお荷物 届けます って書いてあった。
一緒に 車に乗って千春と話して 千春の性格に触れて 千春に好意を 抱くんだろうな。この女は。
それならば
千春に向ける好意を 他に逸らせば?
戸塚に 逸らせる?
いや
いっそ
僕に?
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