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お待たせ致しました。
指定された 家は 豪邸だった。
古くからある農家なのか 道路から門を抜けて両側には 剪定された植木や大きな石 普通の家の何倍もあるガレージには 軽自動車 ドイツの高級車 バンなど5台。
その隣には 肥料か腐葉土か 何袋か積み上げてある。大きな植木鉢が幾つも積んである。
長いスロープを上がって玄関のインターフォンを押すと 直ぐに 依頼主らしい 30代らしき女性。
「お待たせ致しました。山手寝台タクシーです。」
本日は この家から 千葉の浦安まで。
依頼主からは 寝台になるか 車椅子になるかわからないと 言われている。
ストレッチャーは折り畳み式の物を搭載してある。
ま 小さいから 依頼主のお母さんが 抱っこしていても いいんだけど。
車の中では お父さんとお母さんらしき2人が 10才くらいの子供に 一生懸命語りかけている。
その内疲れたのか 子供は眠ってしまったらしい。
「寝てしまったようですね。そのままだと 大変でしょう?起きるまで この車で休んでいたらどうですか?」
俺がそう言うと ありがとうと お子さんが起きるまで 車で 待機になった。
もう そこから あとは目覚めたら 目的地まではあと少し。
俺は断ってタバコを吸いに行ってきます と言うと 父親が一緒に吸いましょうと
喫煙所まで 付いてきた。
聞くとは無しに話を聞くと。
出産までは順調に来たらしいが 生まれた時 へその緒が首に巻き付き 仮死状態で生まれて。以来肢体不自由になってしまったとのこと。
家を全て車椅子で動けるように 新築し段差を無くし 家の中には階段が無くスロープになっているらしい。洗面所風呂には 電動昇降リフト ベランタもスロープにしたとのこと。
俺がさっき見たときは 眠っていたが それはそれは可愛らしい子だった。
黒目がちの大きな目に それはそれは長いまつげ。つけまつげ じゃねーかと思うくらいふさふさ。くちびるは赤くて 可愛い。色が抜けるほど白くて お人形さんみたいに可愛らしい。
髪の毛はゆるいウェーブでリボンもよく似合っていた。
だけどからだが動かせないみたいで 言葉も喋らない。話せないのか 話さないのかは 分からないが 物は食べることは出来るようで 口を開けた時 真っ白な歯が覗いていた。
「ディズニーのね、アニメを見ると嬉しそうに見てるんで 是非連れてきてやりたくてね。僕が運転してもいいけど 家内と2人で遠出を楽しんで話しかけてやりたくて。」
なんだか 不憫だなぁって思ったことは 不要な話だった。この 今日のお客様は 普通にお子さんとレジャーを楽しみにしてるんだなぁって。
俺にはよくわからねぇけど、きっとあの子も 今日のこと 楽しみにしてるんだろうなって 思った。
きっとあの可愛らしい目で 生き生きと 楽しんできて欲しいなって。
帰りの予約を 確認して 一路 夢の国で3人を降ろした。
満面の笑顔で 帰りは乗せてあげられるといいな。
俺は車椅子に乗った小さな美人に手を振ったら ニッコリ笑ってくれた。
寝台タクシーをやって 良かったな。と思える出会いだった。
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