アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
104
-
………ヨシヤスの住むマンションでは
「モッチャン。千春に連絡したよ。」
「リョーイチ アキラ 田辺も昨日連絡した。今夜千春に連絡して 全部終わったなぁ。」
スマホのスピーカーをオンにしていた ヨシヤスがスマホを充電器にセットして 戻ってきた。
「よしよし。ヨシヤス。さて風呂入ってこい。ちゃんと出来たな。ご褒美やろう。シャワーで洗って来いよ。」
途端にだらしなく口元をゆるめた ヨシヤスが 服を捨てるように脱ぎバスルームに 飛ぶように向かった。
よしっ!ヨシヤス グッジョブ。
千春への連絡を最後にした。
耳を澄ませて あっちの音を聞いていた。
俺が 千春の彼氏なら いくらヨシヤスと言えども スピーカーにさせるだろう。途中 微妙な間のあと 何かの上にスマホを置いた音がした。
千春一人だったら 何かしら理由をつけて 電話を切らせるつもりだった。ヨシヤスからの電話なら 中途で終わっても 千春は気にしないと思ったから。
日曜の夜を狙った。
昼間 病院は休診。日中病院が休みなら 人々は休日診療所に脚を運ぶ。緊急なら救急車だが まぁ医師だという千春のパートナーは 日曜の夜は 大抵在宅しているだろうと ふんだ。案の定 あの医師は居た。
遠くから ヨシヤスの話に何かを吹き出すような ぶはっ と 音がした。
あれは あの医師の たてた音。
ヨシヤスには あらかじめ
何を話して 何を話してはいけないか 誘導した。ヨシヤスはバカだ。でも 上手に導けば 敷いたレールをそのまま 素直に走る。千春に連絡する数日前から 可愛がってやった。文字通り 可愛がってやった。セックスの最中も 暗示を掛けて 男同士の恋愛 性交 について 下品な表現を口にさせた。生々しく 表現するように ヨシヤスに 復唱させた。
性交中以外は 千春の以前の結婚を何回も思い出話として 蒸し返した。
千春が 興味の無いことには 無頓着で 誰がどこで何をしようがスルーしてしまうことも 暗示をかけ 頭に叩き込んだ。
千春が ゲイ ではないと ヨシヤスに 示したかった。
ヨシヤスが 千春へ性的な意味で 興味を持たせたくなかった。
アキラと再会しての飲み会に 千春が壮絶な色気をまとっていた。
息を呑むほどの 壮絶な 柔らかさと 湯上がりのような 日だまりのような 暖かい雰囲気。庇護欲を掻き立てる 儚さを含んだ艶と 甘いような匂いすら 漂わせていた。
何も知らない生粋のノーマルな萩ですら 千春の色香に あてられていた。
性的に貪欲なヨシヤスが 動物的なサカリで 千春のフェロモンを嗅ぎ出すのは 火を見るより明らかだった。
ヨシヤスのことだから 千春に 皆が居ようが 抱きつくかもしれない。意識していない ゲイに目覚めるかもしれない。千春を陥れ レイプまがい のことをするかもしれない。
あの医師の為ではない。
己れ 自身の為に
ヨシヤスを千春に向けたくなかった。
ヨシヤスは バカだ。
バカと呼ばれるだけのことをしてきた。
あれは昔 高校の頃だったか。
まだ 皆 ヤンチャをしていた。
千春 アキラ 萩ちゃん 田辺 リョーイチ 他にも 2~3人居たか。
皆で ヨシヤスの家で麻雀かTVゲームだかワイワイしていた。いつもそうだった。
ヨシヤスの家は小さなスーパーマーケットを営んでいた。商店街の外れで 庶民的な格安の店ばかり並ぶ 市場も営んでいた。ヨシヤスの親父は地元の 商工会だか 自治会だか 学校も含めて様々な役員をしていて。母親は 店の切り盛りをしていて。金は有り余る程有って ヨシヤスは広い自宅の庭の一画に 離れのような一軒を与えられて。
甘やかされて 放任主義で 金は惜しみ無く与えられて。そのヨシヤスの離れが 皆の溜まり場だった。
ヨシヤスの一軒家は 作り付けの 押入れのようなベッドが有った。
部屋はフローリングだが 大きなラグにコタツ 当時は珍しい大型TV。キッチンにバスルームとトイレもあって。
ヨシヤスは皆が集まると わざとなのか どこからか 女を呼び寄せる。
時に一人、時には 数人。
ヨシヤスは皆が麻雀やゲームを始めると 女の一人を ベッドに引っ張り込む。作り付けのベッドには 扉が無くカーテンが下がっていた。
カーテン一枚隔てたベッドでヨシヤスは女を抱く。女も心得たもので 嬉々として ベッドに連れ込まれ 忙しない束の間に ヨシヤスと性交する。
呆れたことに あっという間の性交後 わざと ヨシヤスは 皆に
「オーイ 誰が ティッシュ 取ってくれよ。ティッシュっ!」
その前には わざとらしい 女の喘ぎ声。
わざと肌のうつ音をさせる。
最初はぎょっと していた俺たちの仲間は 慣れて ホラよ と カーテンの隙間に ティッシュを投げ込む。
半裸のヨシヤスがベッドからのそりと 出て
「田辺 次ヤル? 萩ちゃんは?千春?モッチャン?リョーイチ?」
俺達は 誰もヤラない。ヨシヤスの直後なんて。しかも 誰とでも脚を開く女なんて。
だが タマに来る奴らは 良いのか?とニヤついて ベッドに入り バカな慌ただしい性交をするバカも居た。
女は時に 玄人のような女も居たし くっついてきて イキガッテ平気な風を装う女も居た。とにかく まともな女は居なかった。ヨシヤスは 友達に女を抱かせて 皆に 自分の存在や居場所を求めていたのかもしれない。
常に自分の部屋に大勢を呼び寄せながら 自分が疎外感を感じていたのかもしれない。
高校も一応行ったが 卒業後 ヨシヤスがまともに 仕事に就くことは無くて スーパーの手伝いをしていたりした。
しかし 自分でも 考えたのか 突然職人になり 最初は鳶職 次に内装 次に空調設備 など経て 今はインテリアリフォームの会社に勤めている。
そのツテ で 或会社の社長令嬢と知り合い 同棲した。
ヨシヤスはヨシヤスなりに 親から離れて 将来を考えたのかもしれない。
インテリアリフォームの会社は こじんまりした会社で それなりに ヨシヤスも性に合ったのか 認められているらしい。
だが ヤッパリ ヨシヤスという 奔放な人間を千春には 気付かせたくなかったのだ。
あの医師の為になってしまうことは 腹立たしいが ヨシヤスを他に 向ける必要が有った。
ヨシヤスは 元来 奉仕には向いていない。女と性交するには 向いていないのだ。しかし 原始的な 性欲の塊のようなこいつには 定期的に精を吐き出させないと 暴走するかもしれない危険がある。
いつ ヨシヤスが千春に 襲いかかるか わからない。千春を安寧に 生活させてやりたい。
それなら ヨシヤスを丸め込むしかない。
もちだのモッチャンは 千春を一番にして 自分が ヨシヤスを 抱く選択をしたのだった。
抱く為の 言い訳など いくらでもヨシヤスに囁ける。ヨシヤスは単純だ。ヨシヤスは 後悔を知らぬ男だ。流されたら その流れに身を任せることが出来る男だ。
そして ヨシヤスを 抱いた。
ふと 様々な思いに 耽っていたら
「モッチャン? 風呂出たよ。ごほうび ごほうび。」
ヨシヤスが ガキのときの まんま の 顔で すり寄って来た。
全てを 忘れて ヨシヤスの頭を撫でてやり そのくちびるを 自らの口で 塞いでやった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
110 / 137