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萩ちゃんは 海外で挙式したあと 日をあまり置かずに 親戚 友人 会社関係の人々を招いて 或ホテルで 披露宴パーティーを行った。
誰かの堅苦しい挨拶も無く ゲームや親戚のピアノ演奏やらを挟んで 和気あいあいと 進み和やかな披露宴だった。料理はとても美味かったし 何より出席者同士ゆったりと話も出来て。
それぞれのテーブルで 俺らは 時々萩ちゃんを椅子に座らせて冷やかしたり フリーのドリンクを飲んだり 萩ちゃんの姉ちゃんやお母さんと話したり 田辺の親バカを笑ったり 楽しく肩の凝らない 披露宴を過ごしたのだった。
いつもは 場にそぐわない 下品なジョークを言ったり 下ネタ連発をしては 皆の反応を楽しむ ヨシヤスも 何故かおとなしくしていた。
披露宴といっても どうか平服でと 招待状に 書かれていたが もちろん礼服ではないものの 俺らは 一応スーツで行こうと しめし合わせていた。
普段スーツのモッチャンは ストライプのスーツをカチッと着こなし ヤッパリ一番格好よかった。胸にブローチみたいな小さな花の飾りも 似合っていた。
普段スーツを着る機会の無い田辺や リョーイチ アキラ は 着心地が 悪そうで……
しかし意外だったのは ヨシヤスだった。
ヨシヤスも確か職人で普段はスーツなど 着ていない。それなのに 奇抜ではないが 難しい色合いの 難しい柄のスーツを難なく着こなしていた。
ヨシヤスは どちらかといえば お笑い芸人しか 着ない派手なスーツでも着てくるのか と 心密かに思っていた 俺らは 拍子抜けしていた。
ヘラヘラ ニヤニヤして 馴れ馴れしく肩に手をまわしたり 時に尻揉みしたり 人に へつらう ような 態度が 一切無かった。
誰もが
まぁ 萩ちゃんの晴れの場で ヨシヤスも いい加減 大人に なったんだろうと、思っていた。
千春は モッチャンの堂々とした態度に圧倒されていた。
ヨシヤスの口から モッチャンと付き合っているとはっきり言われた。
子供じゃないから付き合っているといえば そういうことが含まれていて その当事者が 席を同じくして 同じテーブルに座っている。
たぶんヨシヤスのことだから モッチャンに 報告済みだろう。モッチャンは ヨシヤスとセックスしている事を知っている千春を前に臆することもなく 普通に皆と喋ったり ヨシヤスとも普通に接している。
ヨシヤスも 普通に 皆と喋って接している。
萩ちゃんの姉ちゃんが 知っている と いうことは 皆知っているのかも。それでも モッチャンは 堂々としている。
千春は 或意味 ヨシヤスが羨ましく思えた。2人とも 普通にしている。
俺 真弓さんと 同席したら どうなるかな?真弓さんは俺を側に置いたら どういう態度になるだろう?
これが 男と女なら どうなんだろう?
披露宴のラスト。出席者への挨拶で 萩ちゃんのお母さんが泣いたのは 俺達も ぐっときた。
何となく そのまま帰るのも もったいなくて 俺は アキラと タクシーで帰り 誘われるままアキラの家に寄った。
そこには かつての 俺の最初の女房と親友だった アキラの女房が赤ん坊を抱いていた。
アキラは着替えもそこそこに 赤ん坊を抱き上げた。もうすっかりお父さんだ。
アキラの女房が相変わらずの 調子で
「千春ー。久し振りー。元気してたー?キャー変わんないねー。」
「おうよ。お前も変わんねーな。と 言いたいとこだけど すっかりかーちゃんだな。遅くなったけど おめでとう。赤ん坊は男の子?女の子?」
するとアキラが
「男の子だよ。ハジメっていうんだ。」
「へぇー 2人の良いとこ取りで 可愛いいなぁ。」
結婚式の帰りだというのに 萩ちゃんの話は そっちのけで アキラも女房も 赤ん坊の話ばかりだった。
俺も どちらかの 女房と子供をこさえたら こんな アキラみたいに 良いお父ちゃんになっていたのだろうか?
でもアキラ達は最初から2人とも惚れ合っていた。壮絶な夫婦喧嘩もしてた。
一回離婚して 互いが忘れられず 再び夫婦になった。
そんな想い合う2人だからこそ 生まれた赤ん坊も幸せなんだよな。
俺は2人の女房達を 愛していなかった。愛してない人間と子供をもうけることは ヤッパリ出来ない。
アキラが思い付いたように
「そういえば ヨシヤスが おとなしかったな。アイツも さすがに 萩ちゃんの為に おとなしく祝ってくれたんだな。
それともヨシヤスが変わったのか?バカやってなかったな。」
側に居たアキラの女房が
「好きな人でもできたんじゃないの?好きな人出来たら人間は変わるよ。自分より相手のことを一番に考えちゃうもんね。子供出来れば 子供が一番。」
アキラはヨシヤスのことを知っているのか知らないのか
「まぁ ヨシヤスも30過ぎたし 落ち着いてきたんだろうよ。」
そして俺に向かって
「千春 一杯飲んでくか?それともコーヒーでも 淹れようか?」
「いや酒は要らねーよ。悪いけど 日本茶だけ 飲みてー。」
「おうよ。」
アキラの女房が日本茶を淹れて ごゆっくり と 赤ん坊を連れて 母屋の方に行ってくると 出ていった。
「千春?あんまり浮かねー顔してんな。どーした?」
「いやそーでも。ところで アキラはモッチャンとヨシヤスのこと 知ってるか?」
「おー。萩ちゃんから聞いてる。田辺とリョーイチは知らねーと思う。ウチの女房には言ってねーよ。」
「ふーん。」
「どーした千春。お前 ヨシヤスが羨ましいか?モッチャンが堂々として 羨ましいか?」
「えっ?アキラ……」
「俺は 男同士の恋人っつうの 周りに居ねーから 比べようもねーけど。
両方揃ってるって ヤッパリ圧巻だったな。千春のことは 前に聞いたけど 千春の相手のこと 聞いたことも見たこともねーから 実感沸かない。
モッチャンとヨシヤス。2人揃っていたろう?しかし2人とも 恥ずかしがるでもねー。自慢するでもねー。淡々としていて。
下世話な言い方するとよ 隣でビール飲んでるモッチャンと料理を食ってるヨシヤスが 裸で抱き合って えっちィ ことを している訳だろう?
結婚や同棲 いや公認カップルになる前の2人が 仲間の前で 2人好き合ってます って報告するのって 恥ずかしいだろう?それか2人でキスでもしているところ を見つかったら恥ずかしいだろう?
それとかさ 結婚決まってよ 先に 妊娠したら みんな ヤってることだけど 何となく 俺らセックスしてまっせ って判明する訳じゃん?
今更かもしんねーけど やっぱ ちっと 恥ずかしいだろう?
でもさ モッチャンもヨシヤスも 恥ずかしがらねーもんな。こっちの方が イヤラしい人間みたいな気持ちになっちまったよ。
そう思っていたら 千春が感心したように見ていたからさ。
もしかして 羨ましいって思ってるんじゃねーかなーって。
昔 昔 ガキの頃 友達の家に行くとよ その家の婆ちゃんが おやつ出したり おかーちゃんがよ 手作りのお菓子出してくれるとよ 千春は そういう顔していたからよ。
でも どんなに 隠しても 千春は素直だからよ 羨ましいって顔に出るのよ。
モッチャンも後ろめたさなんか 無かったし ヨシヤスもモッチャンのスーツ似合っていたし。2人とも 堂々としてるから 千春は自分に置き換えて 居たのかなぁって。思った訳よ。
あいつらと 千春は違うかんな。
あいつらは 昔馴染み。友達同士。
千春は 俺らの知らねー人と恋人?夫婦?
千春。お前、自信持てよ。」
アキラは 俺の ガキん時からの 友達。
アキラは 俺の ことをよく知ってる。
ありがとな。
アキラ。
俺は そこから タクシーを呼んで貰って真弓さんの待つ 場所
俺の帰るべき 場所に
帰っていったのだった。
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