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番外編 もしも…
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もしも……………
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俺は山科千春。職業はドライバー。29歳
。結婚したことは無い。独身だ。
寂しい?まぁ 寂しくないといえば嘘になる。でも 今まで これって 決定打は無かったんだ。
女と同棲したこともある。でも 籍でも入れようかって なると イマイチで。円満にお別れした。
俺には持田のモッチャンって 悪友が居る。無類の女好き。しかもモテる。女が途切れたことがない。別れてもすぐ彼女が出来る。セフレも他に居るらしい。要は シタい だけなんじゃねーか?
ま 人それぞれだけどな。
今から何年前だったか こういうことが有った。
モッチャンに乱交パーティに誘われた。そういうのは行ったことねーし 不特定多数の人間が出入りするような処は あんまり好まない。だってどこの誰だかわからねんだから。
でも 厳選された人間ばっかりで 職業的にクオリティが高いからって 説得されて一度だけ 参加した。
モッチャンも誰かの代打って言っていた。
どっかのスナックで待ち合わせて 迎えの車が来て スモークが貼られた車で 運転席との境も見通しきかないアクリルボードが貼られていた。どこを走っているんだか 同じ処をぐるぐる回ったり 地下駐車場を回ったりして よく場所が分からなかった。
そのうち どっかの郊外らしき処へ着いた。 見た目サングラスの目隠しをされて少し 歩いた。周りはしんとしていて どっかの山の中の別荘なんかな?
家の中に入って 入り口近くの小さな部屋で 服をシルクのバスローブに着替えさせられ 小さなロッカーに私物を入れ 仮面舞踏会で見るような 仮面を被せられた。オペラ座のナントカ かよ。って一人ツッコミしていたら モッチャンはもう 消えていた。どんだけ飢えてんのよ。全く。
俺はその小さな部屋を出て 両側に障子や襖の並ぶ 板張りの廊下を歩くと 途中に リビングらしき部屋。そのリビングもかなり広い。
でも 所々 カーテンが降りていたり ソファーが沢山あって あちこちに くっついて 何かしているみてぇ。
もう サカッてるのかよ。キッチンカウンターとそれに続く ダイニングテーブルの上には そこそこのオードブルとウィスキーの瓶だの 紙コップが並んでいた。近くにはでっかい冷蔵庫があって 半裸の女が冷蔵庫から ミネラルウォーターを出して キャップを開けて その場で飲んでいた。
広々したベランダの近くにも 簡易ベッドみたいなのがあって なんとモッチャンが女相手に腰を振っていた。
俺は げっそりして 水割りだけ カウンターから 取って もう一回入口近くの小さな部屋に行こうか どうしようかと思っていたら 奥に続く廊下の部屋のドアが 小さく開いていた。
一戸建てらしいこの家は どんだけ広いんだ?
何気に中に入ると 不釣り合いな 会社にあるようなデスクと椅子の近くに テレビと 小さな長椅子。
薄暗い部屋は誰も居ないようで 長椅子も 誰か使ったような気がして 俺は近くに有った折り畳み椅子を出して座ろうとした。
すると 折り畳み椅子を置こうとしたすぐ近くの床に誰かが座っていたのだった。
「あっ場所ここなら開けますよ。」
って男の声がした。
そんなにまでして 折り畳み椅子を広げることもないかって 俺はその男の近くに コップを持ったまま あぐらをかいて座った。
「なんだか 居場所が無くて。」
と俺が頭を掻きながら言うと
「こういうの 初めてですか?」
と 落ち着いた低い声が聞こえてきた。
何せ 目と鼻が隠れるくらいのマスクをしたまんまだから 顔の見当はつかねぇ。
部屋は廊下からの灯りだけで ぼんやりその男のシルエットが確認出来るだけだ。
「ええ。そうなんすよ。恥ずかしいです。俺は 今日友達に無理矢理連れて来られて。住んでいるのは……」
「しっ。ここでは 個人情報は 一切話してはいけませんよ。
あちらに けっこう女性が沢山居たみたいですが 行かないんですか?」
「一緒に来た 連れが そのうちの誰かと もう そうなっていて。ゲップが出そうで。」
「なるほど。でも あなた 面白い人だなぁ。こういう処へ来たら普通 まずとりあえず じゃないんですか?」
「見ず知らずの人間とすぐ そうなるって俺 苦手かな?今日も ろくに知らずに来ちまったから。」
そんな話をひそひそしていたら 廊下から誰か2人連れが もつれるように入ってきた。
俺ともう一人床に座って居るのに気がつかないようだ。もっとも 誰が居ても関係なく サカッているから 関係ねーか。
2人はデスクの上にある灯りのスイッチを点けた。と言っても それを近くの壁に向けたので たいして明るくはならないが 2人の手元は充分に見えるようだ。
そして俺からも しっかり 見えるようになっちまった。
ソファーに押し倒し濃厚なキスをしているようだ。しかもどうやら男同士のようで。
男と女なら さりげなく 流したか それとも 立ち去るか 出来たんだろうが 俺も 男と男の そういうの初めて目の当たりにして どうしていいのか分からなくて タイミングを失っちまった。
2人は 会いたかった とか 好きだ 好きだって 言い合っていて夢中になって噛みつくようなキスを ちゅぱちゅぱ して 手に持った プラスチックのボトルをパカッと開けて。
それを手に垂らしては 片方の 股ぐらに 塗り込めている らしい。
ありゃー。
参ったなー。
男同士のセックスをここで 見せられるとはなー。なんか今 立ち上がってこの部屋出るのも 気まずいよね。
思わずそーっと後ろにずりずりと あとずさり を してみると 隣の男も 一緒になって あとずさりをしている。
すると 隣の男に肩を軽く叩かれ 腕を引っ張られた。見ると半開きのクローゼット。
ソファーの2人は夢中になって 愛撫し合って ソファーに沈んだのが見えた。廊下からは リビングの方で立てる音楽もジャズに変わっていた。
せーの で クローゼットに入り そーっと扉を閉めた。そして2人でなんだか可笑しくて 声を殺してクスクス笑い合った。
クローゼットの扉は 蛇腹みたいな板で 隙間から 灯りがほんのり入ってくる。
体育座りをしていたら 目が段々慣れてきたみたいで クローゼットの中は案外奥行きもあって 段ボールやら 木製の小さな引き出し箪笥も置かれていた。
箪笥の上に腰をかけた男が 箪笥の横にどうぞと小声で言った。
2人で並んで座って 水割りを飲み干すと隣の男もビールらしき紙コップを飲み干して 足元に置いた。
クローゼットの外のソファーでは 愛を囁き合う男2人。
乳首を、舐めてあげよう。
ふんっあんっ
感じるかい?可愛いおっぱいだ。
もっと 摘まんで。
ぺニスがぬるぬるだね。
ああ。ぺニス舐めたい。
俺の舐めて。
こっちのアナルも舐めたい。
あんっ 我慢出来ない。
アナルに指を挿れてあげよう。
あー。気持ちいい
ここ?ここかな
あー出ちゃう 出ちゃうよ
ソファーの2人の密やかな会話に 俺は 不覚にも 勃起してしまった。思わず唾を呑み込む。
隣に座った見ず知らずの男と触れ合っている 肩と太ももが熱を持っている気がする。
だって 隣の人間は男で。目の前のソファーも男同士で。
思わず隣に座った男の顔を見上げる。
うっすらと 見えた男の顔の仮面の下にくちびるがはっきり見えた。
そのくちびる。したくちびるが 縦に割れていて。目元は見えないが中々 イケメンっぽい。
向こうも俺の顔を見詰めていて。
俺は思わず
「俺 俺 恥ずかしいけど 勃っちゃった」
すると その男も 素晴らしい声で
「僕もですよ」
と言ってニッコリ蕩けるような顔で笑った。
そして優しく俺の頬をナデて
「ごめんね」
と言って
顔が近づいて
俺は その男と キスをしていた。
男でもくちびるは柔らかいんだなぁ。
キスにも相性があると思う。
今までの キスは何だったのか と 思えるほど 素晴らしいキスだった。
どこか ミントの香り。そして どこか 消毒剤?
一旦離れて 又 俺とその男は 舌を絡め合い 口内を 歯を 舌で貪り合った。いつしか 腕を絡め しっかりと抱き合い 後頭部を支え合い 涎を啜り合い そして
お互いの 手が触れた猛ったものを お互いに 扱き合い 2人同時に 吐精していた。
いつのまにか ソファーの2人は居なくなっていて。
クローゼットの中に有った新しいティッシュの箱を開けて お互いの白濁液を 拭き合った。
俺 ゲイだったのかな?
初めて男とキスしたけど スゲー気持ち良かった。初めてナニを男に握られて扱かれたけど スゲー気持ち良かった。
互いに 顔を見詰めて
笑った。
「ルール違反かもしれない。フルネームじゃなくても良い。名前の一部だけで 構わない。僕も こんなに 相性の良いキス こんな甘いキス初めてで。教えてくれないかい?君はとても 可愛い人だ。
僕は 真弓。
君は?」
「俺も。
こんなに興奮したのは初めてっす。男とキスしたのも 初めてなんす。キス今まで好きじゃなかった。あんたとした キススゲー良かった。あんたのしたくちびる こういうくちびる好きだ。
えへへ。
俺 名前。千春。」
「こういう場所で こんなこと したの 初めてなんだ。信じてもらえないかもしれないけどね。」
「俺もこういう処 初めてで。」
「どうやら 時間が 迫ってきたみたいだ。音楽が クラシックに変わったからね。
ねぇ 千春君?
もう一度だけ キスしてくれる?」
俺はその人と もう一度 濃厚なキスをした。
そして その人は 握り合った手を名残惜しそうに 離しながら 帰っていった。
そのあと 俺は呆けたようにリビングで酒を煽って スッキリ顔のモッチャンと合流して 元のように 帰った。
それから 何年か経ったがモッチャンから パーティに誘われることもなかった。モッチャンもそのとき限りの代打だったみたいで モッチャンもそのパーティには 参加していないようだった。
あの日以来 俺は 誰とも付き合う気にもなれずに 時間だけが過ぎていった。
たった一晩のたった一度のキス。
何故 又会う約束をしなかったんだろう?
あんな たった一度のキスが ずっと忘れられなくなるなんて。
顔も知らない。住んでいる処も知らない。年令も知らない。
心地良い声。仕事も何も知らない。
知っているのは キス と 真弓という名前だけ。
男ということが俺の心にブレーキをかけて約束ひとつしないで そのまま わかれてしまった。
だからといって 男をみても 別に 恋愛感情は一切湧かない。
俺はホモなのか?
違うと思うけどよ。
でも あれから 俺は女をみても 欲情しない。もちろん男をみても欲情しない。オナニーはする。あの夜の キスを思い出して。あの夜 扱いてもらったあの手を思い出して。
つまり 俺 もしかして 不能に近いんじゃねーのか?
これって
あの見知らぬ男に 恋しちゃったって ことか?まずいだろ。
まぁ今更 女と 所帯持つのも 面倒くせー。俺は割りと オナニー 好きだかんな。
そして ある日 俺は珍しく風邪をひき 俺のマンションの隣にある山手クリニックって 医院に 行ったんだ。
最初は 分からなかった。
その医者があまりに 予想の上をいくイケメンだったから。
でも 症状を聞かれて。
向こうも 俺が話しているのを 聞いて ニヤリと笑って
意味ありげに
「えーと 山科 ち・は・る さんで お名前 間違いないですね」
と言った。
だから 俺も
「ま・ゆ・み 先生 で 間違いないっすね。」
と答えて ニヤリとした。
だって こんなかたちで 何年も忘れられなかった 人と 会えるなんて 思わなかったから。
点滴が 終わった頃 誰も居なくなった 仮眠室で キスをされて 確信したんだ。
抜群に 相性の良い 甘いキスをしながら。
ずーっと探していた 真弓さんだった って。
大人の 男が たった一度の キスで 忘れられない人になるなんて。
しかも お互いに忘れられない相手になっていたなんて。
俺は したくちびるが 印象に残っていてグッと来る声も忘れられなかった。
実際は とにかくイケメンでビックリしたよって 正直に言ったら
向こうも
千春さんも あまりに可愛らしくて 嬉しい誤算だって。
それから 俺達は からだも繋げて スゲー相性が良いって ことも 判明して。
一緒に暮らしてるよ。籍も入れて。
愛してるんだ。
真弓さんをね。
男とこういうことになるって 思ってもみなかったが 最初にキスしたときから なにか 惹かれる 何かが有ったのかもな。
とんでもない 場所で いきなりキスから始まった関係だけど
お互い忘れられない 人だった。
って 訳だ。
こんな ことも あるんだな。
…………終わり………………………
もしも こうだったら?
でした。
モッチャンはノーマル ノンケの女好き。
千春は 結婚もしていない設定でした。
千春がもし結婚していたら 間違っても こんなパーティーには 参加しないだろうと思っての 設定です。
こんな 感じで 身元も判らず 出会い、キスから始まる関係。
結ばれるべくして結ばれる2人。
惹かれるべくして 惹かれ合う2人でした。
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