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番外編 あのときの千春 9
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長距離をしてあちこちぐるぐる回り 文字通り 頭もぐるぐるしている 千春に 電話をかけている その頃の真弓は?
……………………
やっと やっと 巡り会えた 君。
檀が閉鎖してから 君との 繋がりが ぷっつり切れて
諦めて頭から追い出そうとして 酒を飲んだり 身体を酷使するべく 病院で次々 救急搬送を受け入れたり。海外へ国境無き……として 危険な地域へも進んで出掛けた。
週末も合コンだの誘われたら 当初は紛らわす為に数回参加してみた。相手は キャビンアテンダント だの 女子大生だの 果ては ハーフモデルだの。
居酒屋だったり クラブのVIP ルームだったり どこかのガーデンパーティーだったり……
向こうから あからさまな アピールも心が萎えるばかりだった。
確かに 女は みな良い匂いをさせ 綺麗に着飾り 完璧な化粧で 完璧な整形の人形のような 姿形で 瑕疵すら見当たらない。
ふくよかな胸も柔らかそうで 華奢な肩。抱き締めたら折れそうな背中と 折れそうな脚。
でも 頭から離れなかった。
あのプールの君。
偶然の出会い。やっと目の前に現れた プールの君。
そこら辺の人間とは違うんだよ。
違うんだ。
そこら辺の人間は
何か隠していそうな計算づくの話し方。表裏が はっきりしてる嘘っぱちな笑顔。
そう
お通じは?って聞いたらヤダーって言うんだろうな。
うんこは朝っす。
って言えるか?
僕が 真弓って名前でからかわれた過去を話したら 馬鹿の一つ覚えでウソー とか 言うんだろうな。
からだを震わせて ぶっとばしてやりたいっすね なんて 頼もしい味方になってはくれないだろう?
自分は たいした人間じゃない
なんて 謙虚な人間じゃないだろう?
そう 泣きたくなるほど 千春って人間は素直で 正直で 人を惹き付けて 健気で 哀しい過去を持ちながら 強く生きているんだ。
優しくて 相手を立てて。
それでいて 本当に無邪気で 可愛くて可愛くて。
ただ
君を僕に向かせるのは
そこら辺の女を 振り向かせるより
とても難しい。
こちらの必死の 好きだよ アピールには 気付いてくれない。
いや 気付いているのかもしれないが 何故か 自分に自信が持てないらしい。
僕の勘違いかもしれないが 千春くんが僕に片想いして 気持ちを出さないように 平静を装って いるように思える。
うぬぼれているかな。でも このくらい うぬぼれていないと 君は 僕から 後ずさりで 離れていきそうで。
もし もし 僕を少しでも想ってくれているなら 僕の恋愛について質問してくれ。僕がどんな人を好きなのか 聞いてくれ。千春 君のことを
話すから。
好きでもない人間に 夜中長々と電話で話すもんか。
好きでもない人間とナイターなんか行くもんか。
好きでもない人間とアメフト見るもんか。好きでもない人間と映画を見るもんか。
好きでもない人間と酒なんか飲むもんか。
気付いて欲しいよ。
千春君
どうして電話をかけるのか聞いてくれたら 思わず 好きだからだよ って 玉砕覚悟で 叫んでしまいそうだよ。
地方のサービスエリアの駐車場で 寂しい夜中の道路際で 話している って聞くと 堪らない。もし 自宅なら 隣に居るなら。飛んで行って 顔を見たいよ。直接話をしたいよ。
千春君
君が どんな人が好きなんだ?って 聞いたら 君だよ 千春君。って 叫んでしまいたい。
2年前から 僕の心は
君で占められているんだ。
思い出すだけで
2年間の苦しさに胸が潰れそうだよ。
君を想い続けた2年間を思うと言葉が出てこない。
君と 電話で話して そのあと
僕は 君を汚してしまう。君を想って 自ら昂るモノを鎮めているんだ。猛るこころと猛るモノを鎮めずに いられない。
素直な 表裏のない 健気な 謙譲の心根 嬉しそうな弾む声 嘘のない羞恥の声
どれもこれも 僕の心身に 火を点ける。
好きだよ。好きなんだ。
あー くちづけたい。その目を 見つめながら くちづけたい。
抱き締めたい。
もっと大胆に なっても良いだろうか?
君は嫌悪するかい?
男の僕が君を好きで堪らないことを。
君は 僕を 想ってくれているよね。
想ってくれているから メールをくれるんだよね?
そう思わないと 僕は
どうにか なってしまいそうだよ。
君に会いたい。
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