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ノックをして 院長室に入ると 来客が居た。慌てて 出直そうと 又来る。と言おうとしたら
真弓!
と声を掛けられた。
振り返ると
「俺だよ。真弓。俺。」
コイツは………!
戸塚。戸塚健一。
今や ケンイチ・トツカとして 世界中をまわっている有名な男。
そして真弓や正行、バビエとも同級生だった男だ。
「久し振りだなぁ。いつ日本に帰国したんだ?ずーっとアメリカに居たんじゃ無いのか?」
「俺の生まれた国だぜ?本拠地は日本だよ。ここ数年ちょっと 向こうで立て続けに 仕事が有ってな。でも 一段落したんで 帰ってきてな。のんびり 紅葉でも ってさ。思っていたんだが
こっちで仕事を 受けちまってな」
「そうか 元気そうだな。」
「今 正行とも話していたんだが、真弓もついに フリーを卒業したんだってな。恋人だか なんだか出来たらしいじゃないか」
このトツカは 高校時代 ゲイだった。カミングアウトも早かった。高校時代に交換留学生として アメリカに数ヵ月滞在して ゲイを自覚して 向こうで チェリーボーイを卒業して 日本に帰宅して さっそくパートナーを見つけ 堂々とカミングアウトした。
正行もバビエにも 多少なりとも 影響を与えたかもしれない。
どちらかというと 筋肉質で男らしい男だ。そして、整った顔立ちをしている。彫りが深くて、鼻梁が通っていて高い。そのくせ、日本人らしく性格は穏やか。なのに、ときとして 剛直で、大胆でもある。
そして 何か人を惹き付けて 止まないカリスマも 兼ね備えている。
昔は 女がいつも 取り巻いていた。
しかし 本人は 小さいときから恋愛に関して 違和感があったらしい。女性を可愛いとは思っても 性の対象には ならなかったらしい。
カミングアウトしてから、日本で好奇の目に晒され 親からも改めるように言われ、ついには 日本で知り合った 恋人である 男性にも振られて。
傷心を抱えて 偏見に満ちた 日本を出ていった。
好きだったカメラで身をたてると宣言して。 大学にも合格していたのに それを蹴って単身渡米したのだ。
最初は苦労したらしいが パパラッチのようなことをしてスクープ写真で儲けて 中近東から アフリカへ行き 数々の賞を貰うほど 良い写真を撮り 最近は 人物などを撮って有名雑誌に掲載されたりもしている。
世界を飛びまわっているだけあって 恋人と噂される人物にも事欠かない。
マスコミ大手の 重役だの 有名なハリウッド俳優とか 世界的に有名なミュージシャンとか。
「今正行とも 話していたんだが 俺 最近 親と和解してさ。そしたら 俺の伯父に仕事頼まれちゃってさ。」
「お前の伯父?」と 真弓が 微かな記憶を辿る。
正行が口を挟んだ。
「真弓。コイツの伯父の会社知ってるか?〇〇運輸。
会社で 女のための カタログだか パンフ作るんだとさ。そして コイツ カメラマンで 色々な営業所のイケメンをカメラで 撮るらしいぜ。」
え? えー?ええー?
「コイツ 今 フリーだから 被写体の人間を ゲットしたりしてな。
フフフ。それなら面白いなって 話していたところなんだ。」
そこへ 内線が鳴った。
どうやら 正行担当の 集中治療室の患者の容態に変化があったらしい。
正行は医者の顔になって 出ていった。
トツカは 一旦浮かせた腰を又下ろして 真弓に向きなおした。
「なぁ真弓。正行が居なくなったから言うけど、お前 ゲイだろう?
雰囲気でピンときた。身を固めたって正行は言ってたけど。パートナー見つけたのか?さっき正行が言ってたけど 女?違うだろう?
俺さ 今だから 言うけど、昔から お前が好きだったんだよ。
身固めたって 言っても 単なるパートナーなんだろう?
今まで、友達だったけど これからは 俺の事 違う意味で考えてくれないか?今だから言える。俺 確かにいろいろつきあったりしてきた。だけど俺の初恋はお前。真弓 お前なんだ。
アメリカは確かに自由な国だ。
でもやっぱり お前が 忘れられなかった。お前が好きなんだ。
さっき 言ったつまらない仕事も 日本に居るお前に会いたいから 引き受けた。
真弓 俺とのこと 考えてくれないか?」
そう言うと 向かい合わせに座ったソファの間のテーブルに乗せた真弓の手を握ってきた。
固まった真弓の手に 素早く 口づけた。
「ちょっ ちょっと 待ってくれ。正行に何を聞いたか知らないが 僕は 戸塚 君と いつまでも 友達で 居たい。っつうか 僕には 決まったパートナーが 居るんだ。」
「じゃあ 別れてくれ。真弓 お前 俺のこと嫌いか? 少なくとも 男が嫌いではないだろう?さっき 手を握っても 手にキスしても 顔色が 変わらなかった。少なくとも 男は 嫌いじゃないだろう?
お前 俺のこと セックスの相手として考えてくれないか?俺は 上手いぞ。本場仕込みだからな。俺は タチでも ネコでもイケル。そして定期的に HIV の検査もしている。そんな病気持ちみたいな人間とは 付き合って来なかったからな。先週も検査した。性病も無い。お前が望むなら 内臓の健康診断もする。
真弓。とにかく 頭から 否定しないでくれ。お前が好きだったから 頭を冷やそうと留学した。お前に 意識してほしくて 恋人を作って カミングアウトした。向こうで お前に 似合うような男になりたくて 危険な戦闘も厭わずに 行った。見合う収入も得た。それなりの地位にもなったつもりだ。どんな危険な夜も お前を思っていた。諦めようと して 他人と付き合った。だけど お前が………
お前を抱きたくて お前に抱かれたくて。
可笑しいよな。高校時代の友達が 女々しく 想い続けているなんてな。
ゲイを否定しないなら 同性愛を否定しないなら。考えてくれないか?
頼む」
真弓は 二重の驚きを 感じてていた。
千春の会社のパンフのカメラマンで ずっと 尊敬する 勇者のような友達だと思った相手から 愛を告白されたのだ。
うっかりしている間に
手にキスまでされて 求愛をされて。
しかも ゲイだと 見抜かれて。
唖然とするしかなかった。
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