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翌日の夜も 役員室から 出て プールを眺めた。今夜も彼は一人だ。インストラクターも 今夜は居ない。
事務室では 監視モニターでの映像が 流れて インストラクター の代わりに管理している。
事務室で 会員名簿を探したが すでに シュレッダーにかけられて 何も残って居なかった。
監視カメラの映像を見てみたが プールは 屋根が高いので 鮮明では ないし 遠すぎた。
受付のときに 窓口に居れば 名前が
判明するかもしれないと 事務方に聞いたが あと2週間で閉鎖の為 会員及び会員の知人、家族 近隣住民に 開放とのことで。会員証を提示する人間は居なかった。
もっとも 閉鎖間近の 元々会員の減少していたスポーツクラブに足を運ぶ人間は殆ど居なかった。
会員の振りをして更衣室で 話しかけてみようか?プールに行ってインストラクターや 事務方の視線の中 泳いでみるか?入口で見送りをしてみようか?
僕は 今夜もプールを オペラグラスで 眺める。彼は一人 今夜はベンチに腰を降ろしている。先程 平泳ぎをしていた。
今夜は 僕の正面から良く見えるベンチに座っている。
ゴーグルを外して 遠くを見ている。
その表情が あまりにも 悲しそうで 寂しそうで 泣きそうで。
先日 インストラクターが 話しかけたときの 明るさは 微塵もない。
深く沈んだ 顔。
考えこんで 物思いに耽って ため息を ついている。
何が 有ったんだろう?
笑って おくれ。
何で ふさぎこんで いるの?
あまりにも 悲しげな 泣きそうな そんな顔は 似合わないよ。
自分の足先を見ている。何回目かの ため息を又はいた。ふと 彼の足先を僕も見ると 足指までも 綺麗だった。爪は桜色。白く格好の良い足。甲高でもなく 偏平でもなく マネキンのような 何かの見本のような 骨格の足。くるぶし 足首 天性の足。膝の艶やかさ。脛の 理想的な肉付き。
屈みこんでも綺麗な腹筋。
すっと立ち上がった彼は 出入り口に向かう。
えっ もう帰るのか? と思ったら 自販機でコーヒーを買っている。
又 ベンチに座り缶コーヒーを飲んでいた。のけぞるあごがたまらなく セクシーだ。喉仏が動く。なんて綺麗な首だろう。鎖骨も綺麗。
飲み終わった缶をゴミ箱に 捨てにいく後ろ姿。柔らかそうな尻だ。
一旦は入れようとした ゴミ箱は ペットボトルだったらしく すんでの処で 空き缶入れに 投げ入れた。
自分の間違いに 自嘲して はにかむ顔が なんて可愛らしいんだろう?
さっきまでの 悲しそうな顔が 嘘のように 花が咲いたようだ。
そんな風に いつも 笑っていたら 可愛いだろうな。
話しかけたら 今のより もっと素敵な笑顔なんだろうな。きっと 笑顔は素晴らしいに違いない。悲しそうな顔は似合わないよ。ため息をつかないで、悩みがあるの?
再び 沈みこんだ顔でため息をついている。
君の心を悩ませるものはなあに?
ご家族かい? 友達なのかい? 仕事なの?まさか 恋人かい?それとも 配偶者?
君は 好きな人がいて その人が君を悩ませているのかい?妻と呼ぶ人が居るの?愛をささやく人が居るの?
僕は プールを眺めながら
彼に 愛する人が 居るかもしれないと 思いあたった。
そうだ。 彼は たぶん 僕と 同じような年齢かもしれない。
結婚している可能性だってある。
ああ 彼はどんな 風に 性交をするのだろう。あの顔が どのように 愛撫を受けて 愛撫をしているのか?
その相手が 僕だったら 蕩けさせて あげるのに。
僕だったら 僕だったら
君は………
プールの君
こんなに こんなに
こんな 気持ち 初めてなんだ。
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