アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
6
-
グラタンが出来上がったいい匂いがする。
その香りに誘われるようにキッチンに戻り、テーブルに2人分を並べる。
ただ並べるだけではなくて、プレイスマットを敷き少しオシャレに。
でも、褒めてくれる人はいない。
大地のこだわりで、僕たちは向かい合ってではなく横に並んで食べる。
大地がいた頃のドキドキしていた気持ちが大昔であるかのように感じる。
キラキラした笑顔を向ける君は、もういない。
君が帰ってきてくれるんじゃないか。
そんな淡い期待を抱き、座って待つ。
______だけど、やっぱり君は帰ってこなかった。
冷たくなったグラタンを眺めながら静かに涙を流す。
食欲なんか無かった。
むしろ、吐きたいほど。
悲しくなって、グラタンを捨てた。
そして、何事も無かったように夜ご飯のキッシュを作り始める。
これが、日常と化している。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 37