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「うん...とりあえず、ご両親を呼んで欲しいんだ
家の電話番号とか、分かるよね?」
先ほどと変わらない笑顔で聞いてくる黒河さんの顔が見れなくて、俯く。
家の番号も、親の番号も知らない。
それ以前に、もう関わりたくない。
また、罵声を浴びさせられる未来が見えているから。
これ以上、苦しみたくは無い。
「...優人くん?」
「う...あ、」
何て答えればいいのか、分からない。
「優人くん、前にも...倒れたことある?」
前にも、倒れたことがある。
起きれば保健室に居て、母親が迎えに来る。
“優ちゃん”と呼んでくれて、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。
それが嬉しくて、車に乗せてもらった後久しぶりに“お母さん”と呼んだ。
明るい笑顔が返ってくると思っていた僕に返ってきたのは“気持ち悪い”の一言だった。
保健室の先生がいるから、優しくしただけ。
そう言われて、声を押し殺して泣いた。
思い出しただけで、苦しくなってくる。
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