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俺は見上げていた顔を正面に戻し……
「…………えっ…」
視線が合った。
あの真っ黒で大きな瞳と――。
小学生と間違えそうな背丈、華奢な身体。
「………ミケ…?」
俺が呟いた声が聞こえたのか、ビルの間の脇道へ走っていったミケ。
やっぱりあれはミケだよな。
俺は慌てて走っていったミケを追いかけた。
ビルの脇道。多分あそこは行き止まりだ。
俺は真っ暗な脇道へと入っていった――が、ミケの姿はない。
隠れるような場所もない。
もしかしたらあれはミケではないのかもしれない。
というか、酔っていたからミケが見えた…のかもしれない。
あの頃から、ミケが家を出ていった日から俺はずっとミケのことを忘れることは出来なかった。
俺は自分の首に巻いている赤いマフラーを握りしめた。
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