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―――そこからの記憶は曖昧だ。
まだ遠くには行っていない、そう思いただひたすらミケの姿を探した。
辺りが暗くなり、あの浜辺も探した。
が、どこにも――この町にはミケはもういなかった…。
それからすぐ春休みに入り、外には出たくなかった俺は一日中家に引きこもった。
一緒にテレビを観ながら笑いあい、ミケの作ってくれたご飯を食べて、ミケとこの机で一緒に勉強もした。
風呂上がりのミケの髪も毎日乾かして、俺がプレゼントした星のゴムで前髪を結んで。
そうだ、ミケの髪の毛、俺が切った。
素人だったけどなかなか上手く切れて、ミケも喜んでいた。
出会った頃よりも笑顔が増えて、ミケの笑顔を見る度に嬉しかった。
ミケと一緒に過ごしたこの部屋での日常が恋しい。
冷蔵庫の中に入っているミケが最後に作ってくれたオムライスとコーヒーゼリーはまだ食べていない。
冷蔵庫には入っているが、早く食べないと駄目になるのは分かっているが、これを食べたら本当にもうミケはここには戻ってこないという事実を受け入れないといけない。
その状態までまだ、俺の心は追いついていない。
もしかしたら、玄関の扉が開いて、「つばき、ただいま」とミケが帰ってくるかもしれない。
そんな夢ばかりを見ていた。
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