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「え、泣いてるのか……?」
怪訝な表情でぼくを見ていた男性は、慌てたようにしゃがみこみ、ぼくと同じ目線になる。
「………っ!」
しゃがみこんだ男性の遠く後ろに紫村さんの姿を見つけたぼくは、慌てて身を縮めて目の前にいる男性を盾に隠れる。
「お前、誰かから逃げてるのか?」
そんなぼくの姿に、すぐさまこの状況を察した彼は両手を広げて壁を作る。
紫村さんは辺りをきょろきょろと見渡している。
その顔は険しく、あの日さつきの前に立っていた紫村さんのようで恐怖を覚える。
ここにいたら、すぐ見つかってしまう……。
でもどうしたらいいのか考えても思いつかない。
「とりあえず行こう。逃げてる相手が近くにいるんだろ?」
彼はぼくの手を握り、きっぷが売られている機械まで歩く。
ぼくは彼の体に隠れながらそれについて行く。
彼は慣れた手つきで機械を操作し、きっぷを1枚買いそれをぼくに渡す。
「………あの…これ……?」
「この場所から離れねーと、ずっとここにいても見つかるのは時間の問題だぞ」
きっぷを買うため離していたぼくの手をもう一度握り歩き出す。
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