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苦い記憶
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───最初はごく普通の平凡で幸せな生活だったと思う。
父も休みの日はぼくと遊んでくれて、母の作る料理は全部美味しくて、そして両親いつも笑顔で凄く優しかった。
そんな幸せな記憶が頭の片隅に残っている。
それが崩れたのはぼくが5歳の頃、記憶は曖昧だが高熱が出て、病院へと入院したときだった。
父が仕事を早めに切り上げ、ぼくが入院している病院へと車で駆けつけている、そのときだった、脇見運転をしていたトラックが信号待ちしている父の車に猛スピードで突っ込んだ。
父は病院へと救急車で運ばれた。だが病院へ着いたときには息はなかった。
熱が下がって退院する際に母にそのことを伝えられた。
父と母は結婚する際、親の反対を押し切って結婚したようで、父の両親、ぼくの祖父母に会ったのは、父の葬式のときだった。
ぼくはこのときまだ父がこの世からいなくなった、その事実に実感が湧かなくて、ぼーっとただ母のそばにいるだけだった。
ただ父の母が、ぼくの隣にいた母をすごい剣幕で責めていたのは記憶に鮮明に残っている。
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