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灰色生活に温かすぎる愛を
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「――はぁはぁ……いた」
ずっと星を眺めていた俺の後ろから、聞き覚えのある低い声が聞こえた。
「帰ってきたらミケいないから、焦ったし。ほら帰るぞ」
僕の前に回り込んでしゃがんだつばき。
「……なんで…?」
何でつばきは、僕を?
冬なのに額に汗が滲んでいて、息が切れてる。
走って僕のことを探したの…?
「だって、お前帰る場所ないんだろ?俺ん家住めばいいじゃん」
「……いいの…?」
「別にいいよ。俺ひとり暮らしだし。ミケひとり来たぐらい何ともねぇーよ」
親指を立てて、グーサインを出したつばき。
僕の好きな笑顔で、たれ目の目尻が思いっきり下がっている。
「うっ……うううっ…」
涙が止めどなく溢れ出して、呼吸ができない。
今までどんなに母親に暴言を吐かれても泣かなかったのに、つばきのこの優しい笑顔を見てると自然と涙が溢れ出した。
つばきは咽び泣く僕に優しく笑いかけ、瞳に溜まった涙を親指で優しく拭ってくれた。
「ほら、帰るぞ。寒い中こんなところにいたら風邪引く」
僕の腕を握り、立たせてくれたつばきは、そのまま僕の腕から手のひらに移動して優しく握った。
誰かと手を繋ぐのも初めてで、つばきの大きい手が僕の手を優しく包み込んでくれている。
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