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ずっと、僕だけのものだった。
たった一人の親友。
笑顔が眩しくて、優しくて、いつも一緒だった。
そして本当は、愛していた。
誰にも言えないままで良い。側にいられるなら。
でも、その関係は突然壊れてしまった。
あの子のせいで、全部
季節外れの転校生は、同性なのに、信じられない程か弱く、消極的で、可愛らしい人だった。
委員長でもないのに、僕の親友はその転校生の世話係りに指名された。
「こいつも一緒に良いだろう?」
それからは何をするにも、何処へ行くにもその転校生は一緒だった。
いつも二人きりなわけじゃない。他の友人が一緒な事もあった。
でも違うのだ。この子は違う。
嫌な予感がした。
その嫌な予感は見事当たってしまった。
一ヶ月が経った。
僕の親友は転校生ばかりを気にかけ、僕を見てくれなくなった。転校生は少し僕の事を気にしているようだけれど、結局、僕の親友を一人占めしてしまう。
二人だけの世界。
僕の侵入を許さない、全てが二人だけのもの。
親友が転校生へと向ける態度、感情の変化は明らかだった。
そして転校生も、次第にそれを当たり前のように受け入れるようになった。
そこは、僕の場所だった。
いや、僕のものだ。
僕から、奪ったものだ。
「階段から落ちた!!」
階段の下には気を失った転校生。
悲鳴、叫び声、慌ただしい足音。
「あいつが突き落とした!」
誰かが僕を指差す。
「違う…」
皆の非難の声や罵声が響く中、小さな呟きは誰の耳にも届かない。
転校性を助けようと伸ばしたままだった腕をゆっくりと下ろす。
そして騒ぎを聞き付けた親友の姿が見えた時、僕は涙を滲ませ心から安堵した。
絶対に僕を守ってくれる、信じてくれる。助けて、救いを求めるようにして僕は親友の元まで階段を降りようとした。
「お前がやったのか!?」
信じていた者は、どこにもいなかった
それは、僕の全てを壊した
愛していたから、信じたかった
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