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逃げないで 澪side
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あれから3日。
予定通り、今は本店にヘルプに来ている。予約をサクサクとこなしながらも、頭の中は那智くんのことでいっぱいだ。
あー、最近考えるのは犬のことばっかだったから、人について考えるってだけでも新鮮だなぁ。
はぁ、でもどうしよ。
もしも那智くんが恋愛的な意味合いで俺のことが好きでも、やはり彼の人生のことを考えてしまう。
ノンケとの恋愛って、こんなに深刻だったんだな。
はああー、と休憩室でコーヒー片手にため息をついていると、
「ハーイ!澪!
真田くんからの愛の告白どうだった〜?」
ブハーーーーッッッ!!!
俺は鼻と口から惜しみなくコーヒーを吐き出した。
「ヤダッ!ばっちいわね。何してんのよ〜、ハイ、ティッシュ。それより、その反応は‥やっぱり告白されたのね〜!で、で?付き合うの?」
「な、何言ってんですか。付き合う訳ないでしょ。相手はガキですよ。大体、彼はノンケです。本気で好きなんて言ってる訳ないですよ。」
鼻と口から茶色い汁を垂れ流しながら、俺は答えた。
あ〜、こうやって口に出して言葉にすると、より実感するなぁ。
彼とは付き合えないことが。
「だからなんなの?大体、ノンケの方から好きだって言ってきてんでしょ?真田くん、イイコじゃないの。あんたもいい加減、恋愛してもいいんじゃないの。」
オーナーは俺の過去を知ってる。だから、友のことを引きずってることも。そしてきっと、俺が那智くんに惹かれていることもお見通しなんだろう。
でも、でも俺は、怖いんだ。
恋愛が怖い。
黙り込んだ俺に心配そうな目を向けるオーナーの視線を避けるように、俺は仕事に戻って行った。
オーナーと話をしてから更に数日経ち、今日で本店のヘルプも無事終了した。昨日、那智くんとは10日後に会う約束をした。正直時間がある方が、断る理由とかをきっちりと考えやすいから、ありがたい。
まぁ、でも今日はとにかく呑もう!!
俺の大好きな部屋呑みだ!
1人でのんびり呑むことを考えるだけで、楽しみ!
恋愛なんてなくても、楽しいことは溢れてるのさ!
おつまみok!
ビールok!
オートロックの玄関を通過して、エレベーターへ。
自室のある8階を押して、『閉』ボタンを押す。
8階に着いたら、エレベーターを出て右に曲がれば俺の部屋。
バサッ、ゴトン!
俺の・・・部屋・・
買ったばかりの今夜のお供が指から離れ落ちても、俺はそれを拾うことはおろか、見ることもできなかった。
本来いるはずのない、目の前の想い人から目を話すことができなかったんだ。
「那智・・くん・・」
現実であってほしいという思いと、夢であっていう思いがせめぎ合う。
あぁ、もう心臓が爆発しそうだよ、那智くん。
愛しい君。
君はどうしてこんなにも・・俺の心を掴んで離さないんだ。
あれ?10日後に会うっていうのは、俺の夢なのか?
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