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さようなら。
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あれから、小日向さんには会っていない。
LINEが来ても、読まない。
電話が来ても、出ない。
だって、もう、別れ話を切り出されるだけだから。
でも、もう限界かな。
だから、終わりにしよう。
俺は、小日向さんから借りていた本や服なんかを袋にまとめた。
これで、終わり。
ハッキリとサヨナラを口に出来ないのは、怖いから。
うやむやなまま、会わなくなっていけば、別れる辛さは軽減されるんじゃないかと思う。
それに、小日向さんは幸せになれるんだ。
本命さんと。
自転車で、小日向さんのマンションに来た。
今の時間なら、小日向さんは仕事で自宅には不在のはず。
ポストに入れておこう。
不在時の預かりボックスを操作し、借りていたものを入れる。
手紙も入れてるので、俺からって分かるだろう。
一応、インターフォンで、それだけ伝えとこうか。
俺は、震える指で、小日向さんの部屋の番号を押した。
「はーい。どなたぁ?」
女の人の声が聞こえてきた。
・・・え?
番号押し間違えた?
「もしもーし」
あ、な、何か答えないと・・・・!
「あ、あの小日向さんのご自宅では無いですよね。」
「いえ、こちら小日向澪の部屋ですよ。どちらさまですか?」
小日向さんの部屋?
じゃ、じゃあ、この人は、小日向さんの本命さん・・・!
「もしもーし、澪は今、不在なのよ。ごめんなさいね。
『ママー!パパ、きたぁ?』 パパじゃないよー。
えっと、ご用件は・・・」
「あ、いえ、何もありません!すみません!」
今、子供の声聞こえた。
パパって言ってた。
待って。
どういうこと?
小日向さん、恋人は居ないって言ってたけど、
奥さんは居ないって言ってない。
小日向さん、既婚者で、子供さんも居たんだ。
「那智くん?」
立ち尽くす俺の前に、小日向さんが現れた。
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