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離さない
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自転車を家に向けて走る。
でも、俺の顔はもう涙でぐちゃぐちゃだ。
こんな顔で家には帰れない。
家族には会えない。
家までの道を外れ、駅へ向かう。
自転車を駅に停め、電車に乗る。
どこに行けば・・
ネットカフェで時間潰すとか、かな。
繁華街に行き、ネカフェを探す。
ウロウロしてると、
「那智?」
名前を呼ばれて振り向くと、そこには諒太さんが居た。
「諒太さん・・」
「おま、なんつー顔してんだ!店、来るか?
まだ準備中だけど、なんか食わしてやるよ。」
そう言って、諒太さんは『革命』へと、俺を連れて行ってくれた。
「お疲れーっす」
裏口から入り、カウンターの席に案内される。
諒太さんはカウンターの中に入る。
そこには、マスターさんが居た。
「マスター、那智がしょげてるから、何か元気になるもの作ってやって!」
諒太さんがそう言うと、マスターさんは何かを作り始めた。
「すみません・・・」
お礼とか、色々言わないといけないことはあるのに、出てくるのは涙だけ。
俯いて、ポタポタと涙を流す。
「うっ・・ううっ・・・!」
すると、
「できたぞ、那智!食え!」
ごしっと、目を拭い、スプーンを持つ。
口にしたスープは優しい味で、じわじわと身体を温める。
「おいし、い、ですっ!」
また、ポタポタ涙を流しながら、スープを食べ進める。
隣に座った諒太さんが、よしよしと頭を撫でてくれる。
その手に、また涙が溢れてくる。
「諒太さ、俺、フられちゃいましたっ。」
決壊した涙腺から、滝のように涙が流れ出した。
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