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戦いの火蓋
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次の日、いつものように友さんに送り出された僕は、
穴山くんのところに向かった。
「おはよう、穴山くん。」
「おはよ、真田!」
「僕、今日本多くんと話をするよ。」
穴山くんは目を大きく見開いた。
「えっ!大丈夫か!?」
「うん、大丈夫だよ。僕ね、逃げてばかりはもう嫌なんだ。立ち向かうって決めたんだ。」
そう言って震える腕を手で抑えた。
そんな僕のそぶりをチラリと見て、
「よし!俺も行くぜ、真田!」
「え?どこか行くの?」
「いやいや!本多のとこだよ!俺もついて行っていいよな?」
「え?それは本多くんに聞いてよ。」
「た、確かに・・・!って、いいじゃん!ついて来いって言えよな〜!」
「命令はよくないよ。」
「真面目かっ!」
でも、やっぱり本多くんの許可を得ていないので、
話をする部屋の外で待っといてもらうことにした。
放課後になり、本多くんのクラスへ向かう。
彼は机の中の荷物をカバンに詰め替えているところだった。
入り口に立っていた女子生徒に本多くんを呼んでもらう。
女子生徒に声をかけられた本多くんは、ギョッとした顔で
こちらを見た。
カバンを持って、走って来る。
僕は手を握りしめて話しかけた。
「何か話があるんでしょ?ついてきて。」
「・・うん。」
本多くんはおとなしく僕の後をついてくる。
そして予定通り、空き部屋に入った。
部屋の外では穴山くんが待機している。
先に本多くんを入らせ、僕は扉を閉める。
「それで?話って何?」
「お、俺・・・・」
急にカバンを床に投げつけた。
な、なに?
殴られたりするの?
怖い・・・・!
『お前は何も悪くない』
・・そうだ、友さんの言葉を思い出せ。
もう、僕は小さな子供じゃないんだ。
本多くんがゆらりと前のめりになったかと思ったら、
ふっ、と視界から消えた。
「えっ!?イリュージョン!?」
「ごめんっ!!」
あ、なんだ、土下座してたのか。
・・・・・え?土下座?
「ちょ、ちょっと!何してんの、本多くん!」
「真田、小学校の時は本当に悪かった!!俺、最低な人間だった!謝って済むと思ってないし、許されるとも思ってない!でも、お前は全然悪くないのに、いじめたりして、本当にすみませんでしたっっ!!」
本多くんは額を床に擦り付けている。
僕は、あまりに突然の出来事に頭がついていかなかった。
しばらく頭を下げていた本多くん。
どれくらいの時間が経ったのか、ゆっくりと立ち上がった。
そしてカバンを拾って、「じゃあ・・・」と言い、
ドアに向かう。
何か、言わないと。
本多くんが謝ってくれたんだから。
僕の前を通り過ぎる瞬間、その腕を掴んだ。
「え・・・」
「許す、よ。」
「は・・・?」
「だから、許す、から・・・泣かないで。」
本多くんの顔は床の汚れと涙でドロドロだった。
きっと、ずっと気にしてたんだ。
僕が死のうとしたことも、急に引っ越していなくなったことも。
「・・いいの、か?」
「うん・・・だって、昔は本当に友達だったでしょ。」
「うん。俺、真田といるの楽しかった。・・もう昔の話だけどな。」
「い、今からでも、友達になれるよ。」
「・・・え?」
「ね?」
ニッコリと笑いかけると、何故か本多くんは顔を赤くした。
そして僕の頰に手を添えて、
「昔から、可愛かったけど・・今の、この・・色気・・
エグいんだけど・・」
なんかボソボソ言っている。
「ん?何?」
「あっ、いや、その、」
すると突然ドアが開いて、
「よーし!青春しようぜ!」
意味不明なことを言って、穴山くんが入ってきた。、
「何言ってんの、穴山くんは。」
「何アイツ、友達?」
「ううん。」
「おい!俺たち友達だろーが真田っ!」
「あ、そうだった。」
僕がケラケラと笑うと、穴山くんも本多くんも同じように笑う。
今日は、僕にとって忘れられない日になった。
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