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内示 友side
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「えっ!海外の責任者なんて、すごいやん!」
カラン、とグラスの氷が溶ける音がする。
「そーだな。」
「それの何が悩みなん?」
「何がって・・・大和と離れちまうだろーが。」
「はぁ!?恋人より、仕事やろ!いつの間にそんなしょーもないこと言う男になったんや、友!」
「いいよ別にしょーもなくて。俺には大和が全てなんだよ。」
「・・何それ。ほんなら連れて行きぃや。」
「無理だろそんなの。学校とかどうすんだよ。」
「ほんなら別れぇや。」
「何でだよ。それこそ無理だろーが。」
「じゃあ、どうするかさっさと2人で決めぇや。」
「困らせちまうだろ・・・どういうタイミングで言えばいいのか、全く分からん。」
「何なん!めっちゃウジウジするやん!ウジ太郎やな!」
「誰がウジ虫だ、ボケ!」
「ウジ太郎やし!・・痛てっ!何すんねん、諒太!」
「うるさいよお前ら。ちょっとは静かに話せ。他の客に迷惑だ。」
諒太に叱られ、俺たちは口をつぐむ。
「・・にしても、珍しく友がしけた顔してるな。転勤がそんなに悩ましいか。」
「当たり前だろ。大和に何て言やいいんだ。大和の将来を俺が決めるわけにはいかないだろ。」
カウンターに顔を伏せると、思いの外眠りが襲いかかって来た。
トロトロと、まどろむ。
「そう思ってるなら、そうハッキリ言えばいいだろ。そんな風に悩むなんてお前らしくないな。」
「うっせ。・・・怖いんだよ・・もし話して、大和が俺と別れるって言い出したら・・・?俺、きっともう2度と立ち直れねぇ。」
「ダッサ!!『怖いんだよ・・』ちゃうわ!男なら、当たって砕け・・・痛い!」
「うるさいからお前は!・・なぁ、友。でも、ちゃんと話し合わないとダメなんじゃねぇのか?」
「ん〜・・んなこた分かってんだよ・・でも・・でもなぁ・・大和・・・大和ぉ・・離れたくないよ・・・ぐぅ。」
「寝たな。」
「ホントだな。珍しい。コイツ、大和くんのことになると、人間変わるからな。」
「・・ふぅん。ほんなら俺が、大和くんのこと吹っ切れるようにしたろかな。」
「余計なことするなよ。・・また、盗る気か。」
「ふふ。さぁなぁ・・・?」
眠ってしまった俺には、2人の話は聞こえなかった。
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