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特別な想い レオside
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「・・という訳や。」
「そうだったんですか。」
「理由なんかどうでもいいから、さっさと帰れ。」
「ひどいっ!鬼っ!」
「あ、でもレコーダーはまだ聴いてませんよ?」
「後で2人で聞こう。」
「いや、俺のやんっ!」
「今度3人でメシ食う時にでも返すからいいだろ。」
「ーっ!!」
「ふふ。そうですね。」
「友〜!大和く〜・・・痛い!」
「さっさと帰れ。次言わせたら殴んぞ。」
「もう殴ってるやん!友のアホ!DV男!ふん!言われんでも帰るわ!」
「レオさん、またご飯行きましょうね。」
「行かなくていい、大和。」
「行くわ!行くわボケ!ふーんだ!じゃあ、大和くんバイバイ!」
「はい、さようなら。」
「大和、生春巻きあるぞ。」
「ちゃんと挨拶せぇや、友!」
友はこちらに背を向けて手をひらひらと振っていた。
「あ〜あ・・・・」
「客が逃げる。シケたツラするなら帰れ。」
「諒太まで冷たい・・。」
友の家から自宅に帰るつもりだったが、
寂しさのあまり革命までやってきた。
「まぁ、良かったじゃねぇか。丸く収まったんだろ?お前の願い通りじゃん。」
「そうや。そうやな・・。まぁでも、大和くんって結構すごい子やわ。」
「あぁ、あの子な。結構勘のいい子だよな。」
「そう!そうやねん!」
おそらく大和くんは最初の方から、俺の友への家族愛
的なものを分かってたんやろう。
ちょっと余裕あったし。
それが、悔しいような、嬉しいような気持ちや。
「また今度3人でメシ食うねん。」
「良かったじゃねぇか。」
ぽん、と俺の頭を撫でてくるる諒太は優しい。
コイツも俺の兄ちゃんみたいや。
「というわけで、裏口にあるビールの箱持ってこい。」
「えぇっ!?何でやねん!」
「うるっさい。タダで飲ましてんだから、働け。」
前言撤回!
全然優しない!
クッソ〜!
俺も恋しよ!
恋せよ乙女!
乙女ちゃうけど!
ガチャ。
裏口を開けると、冷たい風が吹いていた。
店内からはクラシック曲が聞こえてくる。
「お〜、結構寒い。ほんで雨めっちゃ振ってるやん。」
濡れたくないから俺に押し付けたんやな、諒太め!
ビールの入った入れ物を、ヨイショ、と持ち上げると、
その影になっていたのか、人が横たわっていた。
「ひぇぇっ!」
なに?
殺人事件?
いや、事故死?
どっちにしても死んでるやんっ!
「ん・・・・」
すると、その子は腕を弱々しくほんの少し持ち上げ、
「・・誰か・・・・・」
と、言った。
俺は思わずその細い腕をとって、
「おい!お前なにしてんねん!どうしてん!おい、諒太!行き倒れや!」
大声で叫んだ。
腕の中のその子は、
雨に打たれた華奢な身体は痛々しく、
青白い肌は消えそうに儚げだった。
しかし、空から堕ちてきた天使さながらに、
とても美しかった。
「お前・・・人間なん・・・?」
そう、呟いてしまうほどに。
ぼんやりと天使を眺めていたら、ガチャ、とドアが開いた。
「なに騒いでんだ。・・って、おい潤!?」
俺の腕の中を覗き込んだ諒太は、そう言った。
これが、俺の人生を大きく変える天使との出会いだった。
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