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兄弟 賢人side
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その後、予想通り友は親を見限って自由を手にした。
その道は間違ってない。
むしろ正しい。
友が家を出て……正確には俺が手引きして1ヶ月。
「……珍しいな。ここに来るなんて。」
兄貴の病院に来た。
正確には親の病院だが。
兄貴はここの院長だ。
院長室に通され、ふかふかのソファにどかっと座る。
「友のことでね。」
そういうと、ぴく、と身体を反応させた。
「兄さん。」
「なんだ。」
「わざとだろ。」
「何の話だ。」
ホント、この人は……。
「友を白鷺の家から逃がしたかったんだろ?」
また、ぴく、と反応する。
素直なんだか、どうなんだか……
「お前が何言ってるか全く分からんな。国境なき医療に携わりすぎて、悪い病気にでも感染してるんじゃないか。」
「兄さん。」
「脳が。」
「兄さん!」
「……いちいち大きな声を出すな。」
窓の外を眺める兄貴の表情は計り知れない。
「そこに、小切手があるだろ。」
唐突だな…。
兄貴は顎で机の上を指す。
「うん?」
俺は机を覗き込む。
たしかに、小切手がある。
金額は……ゼロが……
「い、一億!?」
ビックリしすぎて、思わず机からズザッと離れる。
「ふっ……別に小切手はお前を襲わないぞ?」
兄貴が柔らかく笑う。
その顔は、友にそっくりだ。
儚く、優しい。
そして……強い。
「お前に、小遣いだ。」
「はぁ?何言ってんの?」
「お前が外国で貧しい思いをしてるんじゃないかと思ってな。」
兄貴は俺の収入を知ってるはずだ。
「十分に金はあるって知ってるよな?」
「金はいくらあってもいいだろう。なにかの時にー」
「友に使って欲しい、って素直に言えば?」
また、ぴく、と反応する。
あ〜、ホント素直。
「兄さんって、不器用だよね。」
友って、兄貴に似たのかなぁ……。
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