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それからは小日向さんが修羅の如く連中を殴り飛ばしていた。
アルテミスのオーナーさんが、救急車なんかの手配をしてくれたみたいで、僕は兄ちゃんに無理言って白鷺さんの傍に居させてもらうようにお願いした。
意識が混濁している白鷺さんに付き添って救急へ。
それから警察の人に色々聞かれたりもした。
白鷺さんは、すぐに意識を取り戻したが、左腕と肋骨を何本か骨折してしまった。
でも、今日は帰っていいといわれ、白鷺さんのマンションへと戻る。
時刻はもう2時すぎ。
「イテテ・・・。」
「ベッドまで行きますね。ちょっと我慢してくださいね。」
僕はチビだけど、白鷺さんに肩を貸してなんとか歩いていた。
ベッドの上に、出来るだけゆっくり座らせる。
ぎし、と振動がある。
「大丈夫ですか?痛み無いですか?」
ベッドの前にしゃがみ、聞いてみる。
「いや、大丈夫だ。」
顔をしかめながらも、微笑んでくれる。
無理をさせてるのかな。
痛い部位を聞いたところで、僕には何もできないことを、
白鷺さんは分かっているんだろう。
申し訳ないな。
「すみません。」
俯いて呟く。
すると、する、と白鷺さんの手が僕の顎にかかり、
くっ、と上を向かされる。
「すぐ謝るな。」
見えるのは、白鷺さんの顔。
あぁ、やっぱり綺麗な顔立ちだ。
綺麗なだけじゃなくて、強さもある。
僕には無いもの。
柔らかく笑う顔に胸が締め付けられる。
それは、僕だけに向けられるものじゃないから。
ダメだな、欲張っちゃ。
自分の立場をわきまえないと。
目を逸らし、離してもらおうと自分の手を白鷺さんの手首へ伸ばすと、
ぐっ、とさっきよりも強く顎を握られた。
思わず顔を向ける、
「痛っーーーーんっ!」
キスをされた。
なんで
いや、僕はセフレだから当然なのか
でも、傷があるから止めるべきだろうか
どうしたらいいのか分からず、ひたすら受け止めていると、
「痛って・・・」
ハッッ!
「大丈夫ですか!?」
慌てて口を離す。
「キスするのも大変だな。」
・・・誰かとすることを想定してるのかな
あ、それを想定して、僕で試したのか
なんだ
そうか
いや、それでいいんだよ
僕はセフレなんだから
何、傷付こうとしてるんだ
大丈夫だ
「いつでも、練習台に使って下さい。」
そう言って、傍を離れる。
一瞬見えた白鷺さんの顔が、傷付いてるようで驚いた。
その顔なんなの?
諒太さんに悪いと思ってるのかな。
あ、練習でも僕とキスなんてしたくないってことか。
図々しいことを言ってしまった。
「すみません。」
俯いて謝る。
「何が
「僕、これで失礼しますね。」
「は?今、夜中だよ。どうやって帰んだよ。」
そうだった。
どうしよう。
「・・駅前でホテル探します。」
「いや、今からチェックインとか無理だから。」
「公園で寝ます。」
「こっから公園までめっちゃあるぞ。」
「駅のホームのベンチで寝ます。」
「ここの駅は、この時間改札入れないぞ。」
「・・・・・」
「・・・・・」
どうしよう。
いや、何か打開策があるはずだ。
そもそもここで考えることじゃないよな。
「どうにかします。では、失礼します。」
「おい、大和!イテテ・・・」
ハッとして振り返り、傍まで駆けつける。
「どうして動くんですか。何か必要なものあったら、それだけして、帰ります。言ってください。」
「・・・泊まってけよ。」
「え・・・・」
「今日は泊まってけ。」
何でこんなこと言うのかな。
好きな人がいるくせに。
こんな簡単によその男を泊めるの?
でも何より、そう言われて喜んでいる自分自身が、
一番憎い。
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