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ご奉仕
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食器を洗う手を止める。
タオルで拭いて、彼の方を向く。
でも、顔を見る勇気もなく、見られるのも嫌だから、
顔は俯いたまま。
「大和」
怖い。
何を言われる?
もう手伝いは来なくていいって?
セフレの関係は終わりだって?
・・・そうだ、心構えをしよう。
何を言われても耐えられるように。
そんなことには慣れてるから。
大丈夫、大丈夫。
「顔、あげて。」
顔を見て告知したいのか。
普段なら平気だけど、やっぱり好きな人からの拒絶の言葉
は辛い。
僕の精一杯の反抗だ。
これぐらい許してください。
ふる、と小さく首を横に振る。
すると、
ぎし、と一歩近づいてくる。
やだ、怖い。
無理矢理にでも見させるのかな。
きし、と一歩下がる。
カウンターの向こう側から逃げられるハズだ。
「大和」
また、ぎし、と一歩近づいてくる。
なんで。
早く言ってよ。
「な、なんですか。ごよ、ご用件は。」
きし、と一歩下がる。
「こっち向けよ。」
また近づいてくる。
さっき断ったの伝わってないのかな。
ぶんっぶんっ、と大きく首を横に振る。
「ダメだ。こっち向け。」
俯く視界に彼の手が伸びてくるのが見えた。
ヤダ、やめて。
なんで顔を見ないといけないんだよ。
ダメだ。
ホント、怖い。
もう、ここから逃げだしたい。
ついには後ずさりしながら、
「僕、僕もう、か、帰り、ます。食事の件、本当に、す、すみませんでしたっ。」
震える声で言った。
こんな声で、情けない。
でも、今ならここから走れば逃げ切れる。
まずカウンターの前にあるカバンを回収して、玄関まで走り抜ける。
イメトレも完璧だ。
勢いよく振り返り、駆け出そうと足を出すと、
「危ねっ!」
「っ!!?」
「うっ!」
後ろにぐんっと引っ張られ、暖かい胸の中に包まれた。
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