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ご奉仕
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あれ?
・・・・・・・。
そうだ。
そりゃそうだ。
カウンターの入り口から白鷺さんが入ってきて、
その反対方向に行けば、
そこは壁だよ。
何がカバンを回収だ!
何がイメトレ完璧だ!
僕は、壁に向かって走っていこうとしてたのか。
恥ずかしいっ!!
そのお陰で、白鷺さんの胸に抱きしめられて・・
胸に・・抱き・・とめられ・・?
胸?・・・・って、怪我っっ!!
さっき、『うっ』て言った!
僕は慌てて振り返り、身体をそっと離した。
ぺたぺたと顔と腕、鎖骨辺りに触れ、
「すみませんっ!だ、大丈夫ですかっ!?
痛み、どうですかっ?
あぁ、僕、僕、本当に迷惑ばかり掛けてすみませんっ。」
白鷺さんは黙ってじーっとこちらを見てくる。
僕もじーっと見返して聞いてみる。
「? あの、痛い所、ないですか?」
白鷺さんはニコッと笑い、
「やっと向いたな。」
そう言って、僕の顎に手を這わす。
こんな時に何言ってんだ。
そう思ったけど、白鷺さんが本当に嬉しそうな顔をするか
ら、何も言わず彼の目を見つめた。
「そっち、壁なのに行こうとしたの?」
「・・はい。僕ん家はカウンターを通り抜けられる構造なので・・つい同じ感覚で・・・」
白鷺さんは、よしよしと僕の頭を撫でて、
「ははっ。大和って完璧に見えて、どっか鈍臭いよな。」
「な、なんですかっ。それは悪かったですねっ。」
ふいと、横を向いた。
貴方の笑顔が眩しいから、見ていられなかった。
「嘘、嘘。怒んなよ、な?
俺、お前の笑顔も半ベソ顔も怒った顔も拗ねた顔も、いつもの無表情も好きなんだよ。」
カカカカッと、顔が熱くなる。
「な、な、な、・・・・」
「あ、タコみたいに赤くなる顔もな。」
と言って、こめかみにちゅっ、とキスをした。
僕の素の表情が好きだなんて言ってくれた人は初めてだ。
家族以外では。
この人は僕が欲しい言葉をたくさんくれる。
まるで魔法使いみたいだな。
あぁ、魔法使いなんてピッタリじゃないか。
いつか、魔法は切れるものだから・・・・
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