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運動会
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家に帰って、とりあえず母さんと兄ちゃんに聞いたけど、
2人ともダメだって言われた。
はぁ〜。
どうしよう。
なんかあの体育委員の人のためにこんなに疲労困憊すんのが、本当に腹立つな。
「竜巻〜、お前が出てくれたら一番いいのになぁ。」
ブラッシングをしながらそう呟くと、竜巻はきょとんとした顔をしていた。
「ふふ。ごめんな、困るよな。
はぁ〜、でも困ったなあ。」
と言いながらブラッシングを続けた。
しかし数日後、兄ちゃんから小日向さんが参加してくれるという吉報を受け取った。
とってもありがたい!
その話を兄ちゃんがした時に、白鷺さんと3人で飲んでたそうだ。
そして白鷺さんが小日向さんを推薦してくれたみたいだ。
・・本当に優しい人だな。
またお礼を言いたいけど、僕が直接言われた訳じゃないから連絡するのもおかしいよな。
あれから会ってないけど、お酒飲めるほどには回復してるんだな。
兄ちゃんと何話すんだろう?
僕には連絡してくれないけど、兄ちゃんにはするんだ。
・・・こんな風に、兄ちゃんにまで嫉妬するようになるなんて、最低だ。
心がバラバラになりそうだ。
僕は勉強机に座り、鉛筆を手に取った。
少し・・少しだけ
安心したいんだ。
「キャン」
背後で竜巻が鳴いている。
今は、そんな声も響かない。
右手に鉛筆を持ち、左腕の手首の内側、
柔らかいところに、ゆっくりと鉛筆を刺した。
血は出ない。
そんなに強く刺さない
痛いと思う程度まで刺す
そうすれば、痛みが全てを包み込んでくれるから
痛みに支配されて何も考えずに済むから
鉛筆を外すと、小さな穴があいている。
黒くなっている
少しじんじんする
その痛みに、ひどく安心させられた。
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