アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
誤飲 友side
-
1時間程経っただろうか?
大和は、まだ呆然としたままで何も話さない。
いや、話せないんだろうけど。
「真田さん。」
宝が呼びに来た。
「おう。」
大和は黙ってるので、俺が代わりに答える。
「アンタ、白鷺だろ。」
「いいんだよ、付き添いだから。」
「そ。じゃあ診察室にどうぞ。先生からお話があります。」
「大和、行くよ。」
大和を立たせて、肩を抱いて歩く。
華奢な身体が、更に小さく感じる。
そして診察室に入ると、そこには竜巻の姿はなく、先生だけがいた。
「竜巻ちゃんの喉にはこれが詰まっていました。」
「これ・・・ペットボトルのキャップ?」
そう言うと、大和の身体がビクッと跳ねた。
「そうです。最近はよくあるんですよ。」
先生は気付いていないようで、話を続ける。
「これが喉に詰まってたので、息ができなかったみたいです。口からの処置で、異物は取り除くことができました。
ただ、まだ麻酔がきいてるので眠っています。そして起きた時に呼吸の確認をしなければならないので、今日は入院してもらいます。今回はすぐに救急に来てもらったので、無事処置できて本当に良かったです。」
そう言うと先生は診察室を出て行った。
他に患者がたくさん待ってるんだろう。
「じゃあ明日連絡するから、その時に言われた時間に来て下さい。」
宝が説明をする。
ガタンッ
すると急に大和が立ち上がった。
「お、おい、やま
「ここに泊まることはできませんかっ!僕、僕のせいでこんなことになって、ぼ、僕だけ帰ることなんて、できないっ。竜巻、辛いのに、僕がそばに居ないとっ!」
宝に掴みかかりそうな勢いでまくしたてる。
「う〜ん、ここはね、人は泊まれないんだよ。」
宝は優しく諭す。
「じゃあっ外で待ってますっ、敷地の外にいますからっ」
「う〜ん・・・」
「大和」
「僕っ、僕が、僕のせいでっ
「大和っ。」
両手で大和の両頬を挟む。
「僕っ、僕っ、
「大丈夫だ。竜巻は大丈夫だから。異物取れたんだから、あとは起きるだけだろ?それまで家で待っとけってことだよ。分かるだろ?大和、大丈夫だから。な?」
「・・う、ううっ、しらさ、ぎ、さん、うえぇっ、」
大和は号泣しだした。
顔を俺の肩に埋めさせ、背中をトントンしてやる。
「う、ううっ、ズビッ、スビビッ」
「なんでお前が泣くんだよ、宝。」
「ズビッ、だって、なんか、すごく悲しいし・・」
「キモいな、ホント。さ、大和帰ろう。」
キモい奴は無視して、まだヒクヒクとしゃくりあげている大和の手を引いて車へと向かった。
大和を助手席に座らせ、車を発進させる。
泣き止んではきたものの、まだスンスンと鼻を鳴らしている。
俺はそっと手を伸ばして、大和の膝の上にある手を握ってやる。
一瞬、ピクッと反応するが、強く握ってやると、
弱々しい力ではあるが握り返してきた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
83 / 293