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傷の消毒をして、傷テープを貼る。
4本ぐらい線が入った。
この傷は鉛筆で刺した時のようにはいかないので、リストバンドを着ける。
これで隠し通せるだろ。
トイレに行って戻って来たら、兄ちゃんが散歩から帰って来たところだった。
「あ、大和。・・なんかさっき疲れてるみたいだったけど大丈夫か?」
僕の不調に家族は鋭い。
兄ちゃんは特に。
「電車でうたた寝してる時に怖い夢見たんだ。夢か現実か分からなくなって、ドキドキしてたんだ。心配かけてごめん、もう大丈夫だから。」
そう言って、にっこりと笑顔を見せた。
「そっか。じゃあはい、竜巻。散歩、賢くしてたぞ。」
「うん、ありがとう。」
お礼を言って部屋に戻る。
部屋に入るなり、竜巻はリストバンドを匂い、
「キューン、キューン」
と泣き出した。
まるで、僕を慰めるように・・・
「ありがと、竜巻。慰めてくれてるのか?
・・・竜巻、お前を助けてくれたあの人は、もういないんだよ。僕さ、飽きられちゃったんだ。て言っても、元々ボランティア心で一緒にいてもらっただけなんだけど。
・・もう、なんの価値も無いんだ、僕には。」
「キューン・・・」
「ふふ、ありがとう竜巻。お前のためだけに生きるのも幸せかもしれないな。でも、でも好きなんだ、あの人が。どうしようもなく。でも大丈夫。大丈夫だから・・・」
その夜から僕は、ほとんど眠ることが出来なくなった。
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