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追い打ち
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あれから定期的にカミソリで切っている。
と言ってもそんな大出血する程じゃない。
切ると、ホッとするんだ。
モヤが一気に晴れるような感覚で。
何故だかとても安心する。
しかし同じ所ばかり切るとミミズ腫れのように腫れ上がることに気がついたので、微妙にズラして切っている。
毎日学校にも通い、少ないけど食事も摂ってる。
家族には、ここ最近疲れていて食欲が無いと伝えてある。
いつまでもこの理由では無理があるから、なんか考えないとダメだな。
いつものようにワイシャツに腕を通し、ブレザーを着る。
そしてリストバンドを装着。
「大丈夫、大丈夫・・・」
いつもの言葉をおまじないのように呟き、1日が始まる。
ピロン。
スマホを確認する。
誰だよ、こんな朝から。
差出人は『白鷺友』
「またか・・・・」
そう、ここ数日は出掛けようと誘ってくる。
『すみません。用事があって行けません。当分学校の委員会が忙しいので、どなたか別の方と出掛けて下さい。』
これで、よし、と。
もう会えないよ。
会ってどうなるの?
どうせ、恋人の惚気話でもされるんでしょ?
そんなこと、耐えられない。
怖い。
自分を保てなくなりそうで。
ピロン
『そう言うなよ。またメシでも食いに行こうぜ。
委員会、頑張ってな。』
何言ってるんだ。
こんな優しさなんて要らないのに。
それでも心の奥底で喜んでいる僕は、本当に惨めな人間だ
「おえっ・・・・」
吐き気がもよおしてきた。
大丈夫だ
大丈夫、大丈夫・・・
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