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追い打ち
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朝起きて学校へ行き、夕方に帰ってくる。
学校から帰ると、手首を切る。
それの繰り返しだ。
毎日毎日、ただ切るだけの日々。
でも、切る本数が少し減ったかな。
気持ちが落ち着いてきたのかもしれない。
このまま切ることが無くなればいいのに。
机の引き出しからカミソリを取り出すと、傍で寝ていた竜巻がはね起きる。
「キャン!キャン!キャンキャン!」
最近、いつもこうだ。
「竜巻、静かに。な?」
宥めると鳴き止むが、カミソリを手にすると、また鳴き出す。
「キャンキャン!」
うるさい
うるさい
うるさい
うるさい
「うるさいっ!」
ーコンコン
「大和?」
ハッと我に帰る。
まずい、兄ちゃんだ。
急いでカミソリを片付けて、血のついたティッシュをゴミ箱へ。
服に血が飛んでないのを確認して、ドアを開ける。
「大和、大丈夫か?」
「うん。騒がしくしてごめん。」
「いや、いいんだけど・・・竜巻の散歩行こうか?」
「うん、そうだね。お願い。竜巻、連れてってもらいな。」
竜巻を抱っこして兄ちゃんに渡すが、
「うわっ!」
腕の中で大暴れし、僕の部屋に戻ってくる。
「キューン」
「ほら、竜巻行くぞっ!」
兄ちゃんが竜巻を捕まえようとする。
「・・兄ちゃん、いいよ。僕が後で行くから。」
「そうか?分かった。」
そう言って兄ちゃんはオロチの散歩に行った。
竜巻は申し訳なさそうな顔でこちらを見ている。
「いいんだよ、僕のこと心配してくれたのか?ありがとう、竜巻。お前のおかげで僕は正気を保っていられるよ。」
そして竜巻を撫でた。
何もつけていない左手で。
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