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濃密
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「馬鹿っ!身体気遣った意味ないだろーが!」
白鷺さんがティッシュで口元や手を拭いてくれる。
「だって、白鷺さんだけズルイ・・」
「いや、ズルイとかいう問題じゃ・・」
「僕だって、飲みたいですっ!」
「わか、分かったよ!変なこと叫ぶなって!
ハハ・・もう朝から何やってんだろうな。まあ、お互いスッキリしたとこで飯にすっか!」
「はいっ!」
2人でキッチンに立つ。
昨日まではあんなに吐き気に見舞われてたのに、
今はお腹が空いて仕方ない。現金なもんだ。
「お前、朝は和食派?洋食派?」
「朝は色々です。」
「そっか。んじゃ今日は和食にすっか。」
そう言って、文字通りチャチャッと作り上げた。
「す、すごい・・・」
出来上がったメニューは、
なめこの味噌汁と焼きジャケ、だし巻きとほうれん草のお浸し。
え、これ朝ごはんなの?
白鷺さんシェフなの?
「残り物も結構あんだけどな。大和、メシよそって。」
「は、はい!」
どれぐらい食べるのかな、白鷺さん。
「あの・・・」
振り向くと、お味噌汁の味見をしていた。
邪魔しちゃ悪いかな。
まぁ、多めなら減らせばいいしな。
モリモリに盛った。
「いただきます。」
「・・おい」
「はい?」
「『はい?』じゃねーだろ!分かるだろ!なんだこのモリモリ飯はっ!日本昔話のやつじゃねーか!」
そう言って白鷺さんはモリ飯を減らしに行った。
「量が分からなかったので、すみません。」
「いや、聞けよ・・。そうだ、大和、俺たちはお互いのこと何も知らないんだ。メシの量も、好きなこと、嫌いなこと、何も。だからさ、全部聞けよ。俺も、全部聞くからな。」
そう言って優しく笑う。
この人は僕をとても幸せにする言葉を言ってくれる。
本当に嬉しい。
「はいっ。」
温かいお味噌汁が心に沁みた。
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