アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
抗う 友side
-
俺は物心ついた時から勉強をしていた。
もとい、させられていた。
それも励まされるような指導では無く、
いつも母親が鬼のような形相で殴る、つねるを繰り返す。
そのお陰で幼稚園受験は成功。
幼稚園からは塾に通っていた。
先生は優しかったが、家で教えるのは母親。
やはりヒステリックに怒鳴りつけられる。
小学校受験もやはり無事に成功し、更なる学問を深めてい
る時、妹と弟が産まれた。
こいつらは双子だ。名前は淑子と賢太郎。
俺は、こいつらのお陰で正しい道を歩めたと言っても過言ではない。
こいつらは、俺の救世主だった。
いつも通り塾を終えて自宅に帰り、デリバリーの飯を食う。
やたらと味の濃いそれはマズイとしか思えず、
ほとんど捨てていた。
風呂を終え、部屋に戻るとまた勉強だ。
夜は鬼婆が待っている。
いつものように「馬鹿」「阿保」と罵られつねられなが
ら、なんとか課題を終える。
寝ようかと思いベッドに入ると、妹と弟が部屋にやって来た。
「お兄ちゃん!」
「一緒に寝ていい?」
「うん。いいよ。」
そう言って3人で寝るのが日課だ。
誰も聞いてくれない学校のこと、幼稚園のこと、お互い
にその日あったことを話す。
お互いに唯一の安らぎだった。
コイツらは守らないと、と思う気持ちだけが俺の原動力だった。
ある日、コイツらが塾に行くことになった。
それはいいとして、自宅での勉強を鬼婆が教えると言う。
俺はそれで良かったけど、可愛い兄弟にそれはさせられない。
だから、俺が教えると言った。
もちろん、『生意気言うな』と罵られたが、
俺も引き下がることはできなかった。
思えばそれが、初めての反抗だったのかもしれない。
粘った甲斐もあり、俺は自分の勉強と並行してコイツらに
勉強を教えた。
苦手な分野がありつつも、2人ともとても頑張っていた。
妹たちも無事に小学校受験をクリアした。
その時俺は中学生だった。
突然、うちに犬が来た。
秋田犬の雄犬で名前はタロー。
妹たちが受験に合格したら欲しいと言っていたから。
両親は全然面倒を見ない。
妹たちが散歩するのは体格的に無理だから、俺がしていた。
タローは心の優しい犬だった。
ほとんど俺たち兄弟と過ごしていたから、両親には全くと
言っていいほど懐かなかった。
タローが来てから1年経ったある日、
タローが母親を噛んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
155 / 293