アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
抗う 友side
-
原因は明らかだった。
テストの結果が悪かった賢太郎に母親が殴る蹴るの暴行を
したからだ。
タローは賢太郎を守ろうとし、噛む以外無かったんだと
思う。タローもまだ、子供だったから。
でも噛むっていっても少し血が滲むぐらいで、全然軽症。
けど次の日、学校から帰ったらタローの姿は無かった。
妹たちが泣いているから、どうしたと聞くと、タローが
いないと言う。
嫌な予感がした。
夜になり、妹たちが寝てからリビングに行った。
「母さん、タローはどこに行ったんですか?」
今思うと、親に敬語を使う子供なんてキモイよな。
「知らないわ。」
「父さん、タローがいないんです。」
「そんなことどうでもいい。勉強しろ。」
殺されたんだと直感した。
温情があれば、犬の救護施設に預けられたかもしれないが。
両親の性格上、自分に楯突いたヤツに情けをかけることは
ないだろう。
その瞬間、俺の中で何かが弾けた。
「てめえら!ふざっけんなよ、クソヤローどもがッッッ!」
そう言って父親に掴みかかった。
掴みながら何かたくさん罵りあって、後ろから母親の悲鳴
が聞こえたりしていて・・
そんな時、
「友!落ち着け!」
叔父さんが俺を羽交い締めにした。
「親に掴みかかるなんて、なんて子なの!?」
「こんな子供に育てた覚えは無いな。」
「てめえらに育てられた覚えこそねーよ!!」
「友、落ち着け。兄さん達も、いい加減にしなよ!」
「賢人、お前こそ人の家に上がり込んで何を言ってる。」
「まあまあ。友のことは俺に任せて。兄さんも義姉さんも
落ち着いてよね。」
ゆる〜い空気で話し、興奮冷めやらぬ俺を部屋に連れて
行った。
俺の部屋に入ると、叔父さんが掴んでいる手を離した。
「・・出て行って下さい。」
「おい、友!叔父さん久々の帰還だよ?話すこと、てんこもりにあるだろ!」
「ありません。お騒がせして申し訳ありません。もう、行って下さい。」
「・・もう、『てめえら!』『クソヤロー!』って言わないの?」
「・・・」
「さっきの友さ、超恰好良かったよ。お前相変わらず優しいのな。」
そう言って俺の頭を撫でる。
あぁ、懐かしい。
叔父さん。
賢人叔父さん。
「こうやって泣いてるお前の頭を撫でるのも、懐かしいな・・。友、よく頑張った。」
叔父さんはぽんぽんと背中をあやすように叩いてくれた。
俺は、涙が止まらなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
156 / 293