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抗う
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「家出したんですか?」
「家出つーか、断絶かなぁ。決めてたんだ。絶対に合格してから、親を裏切ってやろうって。叔父さんに相談して、専門学校もコッソリ受験してた。んで、家を出て独りになったと。」
「学費はどうしたんですか?」
「叔父さんが払ってくれたんだ。働き出して何年目かに返済しようと思って持って行ったけど、受け取ってくれなかった。『それぐらいのこと、させろ!』ってさ。ホント、どこまでもいい人なんだよ・・。」
そう言って懐かしそうに微笑む。
高校生で、しかも仲良し家族で育った僕には到底理解することができない。
でも、それでも、僕は友さんの手を握る。
「僕は高校生だし、平凡な家庭に育ちました。だから、そういう大変さとか実感することはできません。
・・でも、きっとこれまでの人生、すごく大変だったと思います。
ご両親とは不和になっていますが、僕にとっては、友さんをこの世に産み出してくれた唯一の存在で、それについてはとても感謝しています。
・・僕・・僕が、友さんの、これからの人生は、僕が輝かせてみせますっ!」
友さんは、ポカンとした顔。
・・変なこと言ったかな?
「ふはっ。あはは!大和、ありがとう。そうだな、お前と出会うためには、まず産まれなきゃだしな。そう意味では感謝かな・・。
・・俺さ、どこかでずっと罪悪感があった。いや、今でもある。育ててもらった両親を裏切って、慕ってくれる妹弟に家を押し付けて・・。男しか好きになれない人間になって。・・・最低な長男だなって思うんだ。」
僕は思わず友さんの所へ駆け寄り、頭を抱き締めた。
「そんな、そんなことないです!ご両親の期待に応えて、妹さんと弟さんを守って、何を恥じることがあるんですか!すごいです、すごい兄ちゃんです!僕の兄ちゃんもすごくカッコイイけど、友さんもすごく素敵なお兄さんです!きっと、淑子さんも賢太郎くんも分かってます。僕にもわかります。貴方は、優しい人だって。」
「・・ありがとう大和。ありがとう・・・。
ダセェな、俺は。大和は俺の全てだよ。」
そうして僕たちはしばらく抱きあったまま、時間が過ぎていった。
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