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穏やかな日々
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ジャー、と流水音がしてトイレから出てくると、
前で友さんが待っていた。
「っし、メシできてんぞ。行くか。」
「はい・・って、えっ。」
また軽々と横抱きをされ、ダイニングへ連れて行かれる。
いつもの椅子に座らされると、
「あの・・ちゃんと歩けます。」
「いや、産まれたてのシカみたいだから無理だろ。」
産まれたてのシカ!
確かに・・。
「すみません・・」
「は?いやいやいや!俺が悪いから!お前を抱っこして運ぶのは、むしろ責務だ。」
なんだかよく分からないけど、
「今日もご飯美味しそうですね!」
もうシェフだよね。
鯖のみぞれ煮、豚汁、ほうれん草のおひたし、子芋とイカの煮物。
「嫌いなもんないか?」
「はいっ。とても美味しそうです!」
こうして今回のお泊まり最後の夕飯を頂いた。
食後はお風呂に入り、早々にベッドへ。
「明日何時頃帰んだ?ギリギリまで居ろよ。」
「はい。あ、来週からは試験勉強しないといけないので、
しばらく来られないと思います。」
「えっ。じゃあいつ?次会えんのいつ?」
こんな風に、友さんは僕と会うのを楽しみにしてくれる。
嬉しい。
でも試験は試験だ。
悪い点数を取るわけにはいかない。
「再来週・・・」
「えぇぇっ!!めっちゃ先じゃん!」
「ふふ。僕も寂しいです。」
「寂しいのに何で笑ってんだよ。」
「寂しがってもらえるの、嬉しいから。」
「・・寂しいよ、めちゃめちゃ寂しい。電話はしてもいいか?」
「はい。友さんの電話とメールを励みに頑張ります。」
「うん。・・はぁ。ホント、寂しいなぁ。ずっと一緒にいたいよ、大和。」
友さんは、ぎゅっと抱きしめてくれた。
僕も迷わずその背中に腕を回す。
あっという間に眠気が来て、ウトウトと船をこぐ。
「大和、いつか一緒に暮らそうな・・・」
そんな夢見たいな言葉が都合よく聞こえていた。
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