アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
恐怖
-
「真・・・田・・?」
呆然とする僕に、そいつが声をかけた。
ハッとして、我に帰る。
まずい、平静を装わないと。
「はい、真田と言います。よろしく、本多・・くん。」
「よし、じゃあよろしくな〜。」
先生が部屋から出て行く。
するとソイツが一歩こちらに歩み寄り、
「あのっ、あのさっ
「じゃあまずは校内を案内するから。ついて来て。」
僕は大きくソイツを避けて、部屋を出る。
「ここが視聴覚室で、こっちが放送室。その向かい側が
情報処理室で・・・・」
僕はほとんどまくし立てるように、説明する。
こんな説明で理解なんてできないだろうけど、
早く解放されたかった。
ある程度説明したら、念のために作っておいた学校生活に
ついてのしおりを渡した。
「詳しいことはここに書いてあるから。あと、基本的には分からないことがあれば、クラス委員に聞いてくれ。じゃあ。」
そう言って、踵を返した。
「生活委員には、何を聞けばいいんだ?」
投げかけられた言葉に、背中がゾクリとした。
変声期を経て、声が変わっているとはいえ、面影がある。
声も顔も身体も、全てに。
「・・特に無いと思うよ。」
振り向かずに答える。
早く、この場を立ち去りたい。
僕は足元から崩れ落ちそうになりながらも、必死で歩いた。
「真田っ!俺、お前のこと知ってるよ!」
その言葉を聞いた瞬間、僕は走り出していた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
169 / 293