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貴方と、共に 友side
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やはり大和は中退を考えているようだ。
今のこの混乱した状態なら仕方ないか。
でも、将来のことを考えれば、やはり高校以降の進学も
するべきだと思う。
というか、やりたいことがあって中退するならいいが、
メリット・デメリットを理解せずに決断するのは、
後々の後悔に繋がるかもしれない。
「大和。今日はゆっくり過ごそうな。」
「は・・・・い・・・」
たくさん甘やかして、抱きしめて、うまいもん食わして、
しっかり眠らせよう。
それが今、最も必要なことだと思うから。
その日は、それ以上その話はせず、ゆったりと過ごした。
次の日、少し落ち着いた大和をソファで隣りに座らせ、
抱きしめながら、話をする。
「大和、俺はお前がどんな選択をしても、それを尊重する。だから、俺の思うことを言ってもいいか?」
「はい。・・少し、怖いけど・・」
ぎゅーっ、と抱きしめる腕に力を込める。
「俺が高校卒業後、専門学校に進んだのは、前に言ったよな?」
「はい。」
「ホントはあん時な、俺もどっかで働こうと思ったんだよ。親に金出して学校行くのも嫌だったし。・・でも、叔父さんに言われたんだ。『高卒で、将来の夢も目標もなくて、どうやって生きて行くんだ』って。」
「・・・・」
「そん時は叔父さんの言ってることがあんまりよく分からないまま専門学校に進学したけど、今になったらよく分かる。何か目標があって、中退するなら生きる道しるべを自分で作ることができる。でも、何も目標がないまま辞めてしまうと、後々、すごく大変なんじゃないかなって。」
「・・・」
「大和がどうしても辛くて辞めたいなら、俺はそれを支持するよ。でも、大和。いつまでも悔しくないか?」
「!!」
「俺は、悔しいよ。どうして何も悪くないお前が辞めなきゃならない?逃げなきゃならない?人生を棒に振らなきゃならないんだよ?」
「悔・・しい・・・?」
「そうだよ。お前は品行方正で、優秀な成績も治めてる。学校も、お前を必要としてるよ。」
「僕が・・・?」
「うん。それに・・・ここで中退したとして、また今度新しい道を歩き始めた時に、また別のいじめっ子に再会したら?そこでもまた、何もかも捨てちまうのか?自分が一生懸命築き上げたものを、捨てられるのか?」
ふるふる、と弱々しくもハッキリと、頭を横に振る。
「大和、俺はお前に負けて欲しくない。善人であるお前が、お前だけが苦しむのが納得できないし、悔しい。もう、お前はあの時みたいに、小さな子供じゃない。分かってくれる家族もいる。・・・俺も、いる。」
大和の大きな瞳から、涙を一粒こぼれた。
そして、その可愛い顔を歪めて叫ぶように言葉を吐き出す。
「僕・・・嫌・・嫌だっ!僕だって、嫌だっ!誰にも、負けずに、逃げずに生きたい!!堂々としていたいっ!僕、僕、中退なんか、したくないよぉ・・・っっ!!」
泣き崩れる大和を、俺は、強く強く抱き締めた。
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